GHG、LCAの考え方について

ykpartners_GHG、LCAの考え方について バイオマスコラム
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GHGとはGreen House Gas、つまり温室効果ガスと言って、二酸化炭素、メタン、水蒸気など、大気中にあって、大気や海水の温度を上昇させる性質をもつガスのことを言います。いまバイオマス燃料を評価するときに、GHGライフサイクルアセスメント(LCA, Life Cycle Assessment)の考え方が取り入れられようとしています。これは何でしょうか?

温室効果ガスは地球温暖化の主因です。そのなかで19世紀の産業革命以来、特に増加しているのが二酸化炭素で、この発生を押さえ、また減らすことで、地球温暖化の傾向に歯止めをかけようというのが、近年の世界的な取り組みですね。「化石燃料から再生可能エネルギーへ」はそのための大きな流れです。

再生可能エネルギーのうちバイオマスは、海外からも輸入します。場合によっては遠い国から長い航海距離を運んできます。この船舶による輸送途中では燃料油を炊きますから、二酸化炭素は発生します。そこで「このバイオマスを輸入するにあたり、製造過程を含め、いったいどのくらいの二酸化炭素を発生させているのか、これをバイオマスの単位当たりで把握しておこう」という考えがライフサイクルアセスメントです。ですから海上輸送のみならず、原料の伐採、搬出、燃料への加工、そして発電所までの輸送などで排出する二酸化炭素も計算に含めます。もちろん国内のバイオマスにもこの考えを適用します。

バイオマスの輸送ですが、必ずしも遠距離の輸送だから二酸化炭素の発生量が多い、と言うわけではありません。例えばトラック輸送ですと、数百キロの輸送で多くの二酸化炭素を発生させますが、大型船舶を使用した海上輸送では、単位当たりの二酸化炭素発生量はむしろ低くなります。トラックではいっぺんに運べる量は10~20トン程度ですが、大型船舶では3~4万トンが可能になるからです。

例えばバイオマス。発電所の規模を大きくし、出来るだけコストのかからないバイオマス燃料を工夫すれば、発電コストは下がります。洋上風力ですが、陸上の風力発電では実現が難しかった風車の大型化と、それから海上では強い風が一定方向に吹くので、より強い風のパワーを得られることで、発電コストは下がります。

これらは実際にヨーロッパでは実現できていることです。ヨーロッパはこの分野では日本より5、6年先行しています。いっぽうで石炭やガスなどの化石燃料の発電コストは上がっていきます。特に石炭には国際的に逆風が吹いています。

今後は石炭を使い続けることで様々な環境規制がかかるでしょう。環境税もかかるでしょうし、そもそもCSR,すなわち企業の社会的責任の観点や、2015年に国連サミットで採択された国際目標であるSDG、すなわち持続可能な開発目標に多くの企業がコミットしていますから、これらに反することは企業としてもやり辛くなって行きます。

電力会社のみならず電気を使う側も同じです。つまり企業価値のマイナス要素となりますので、化石燃料は実際に使いにくくなることもありますが、化石燃料の発電コストは上昇していきます。ですから再生可能エネルギーによる発電が高い!と言うことには決してならないのです。