バイオマスと植林

バイオマスコラム

再生可能エネルギーの一つ、「バイオマス発電と植林事業は、とても良い組み合わせになるのではないか」というお話です。

バイオマス発電は燃料としてバイオマスを燃やすので、どうしてもCO2を発生させますね。「バイオマスは再生可能エネルギーなのに、この点はどう説明するんだ?」と言われたときに、

「このCO2は木や草などの成長過程で大気中から吸収したCO2ですから、全体としては大気中のCO2を増やさない。すなわちカーボンニュートラルとなりますよ」

という説明をします。ここが同じく発電でCO2を出す化石燃料とは決定的に違う点です。

石炭や石油などの化石燃料は、地中に埋まっていたものを掘り起こして燃やすのですから、燃やすことで発生するCO2は、そのまま大気中のCO2を増やしてしまいます。これが正しい説明ですね。

ところが、実際に一般の人と話をしてみると「バイオマスだって燃やせばCO2が出るんでしょう?学校でそのように教わった」とおっしゃるわけです。その通りなんです。

ここで「いや実はバイオマスが成長する過程で、大気中のCO2を吸収しますから。。。」など理屈を述べてもその場で納得してもらうのは難しいですね。そこで英国のバイオマス発電所では、実際にバイオマス発電所から発生するCO2を回収して、何か別の用途に使用しよう、あるいは回収したCO2を貯蔵してしまおうという研究がなされています。

CO2の貯蔵は二酸化炭素貯留(Carbon Capture and Storage = CCS)という技術ですが、コストがどうしても高くなりますから、それをどう押さえるかなど実用化には多くの課題があります。なぜならCO2をそのまま貯蔵したのでは膨大な容積が必要なので、概念としてはCO2を冷却してドライアイスとします。これを冷凍庫に入れて保管することになるのですから、コストはかかりますね。

では他の方法はないのか?その一つに、植林があります。バイオマス発電所に隣接した場所でなくてもいいのですが、海外でも国内でも、植林適地を見つけて、そこに新規植林を進めることです。こうすることで、植林は苗木の段階から大気中のCO2を吸収し、光合成によって太陽エネルギーを炭水化物に変換させ、これが森林を成長させ、そして酸素を大気中に排出して育っていきます。吸収したCO2はまさに木質そのものとして蓄えられるわけです。

ですから、バイオマス発電所と組み合わせて、植林事業を行うことももっと積極的に検討されても良いのではないかと思います。バイオマスはカーボンニュートラルどころか、カーボンを減らせる可能性もあるということです。