発電設備の設備利用率について

バイオマスコラム

設備利用率とは、一定の稼動期間中(一般的には一年間単位)に得られた発電量が、その発電設備が仮に同期間中に100%の出力で発電し続けた場合に占める割合です。

例えば設備利用率20%というと、年間で73日間(1752時間)100%の力で稼働したのと同じ電力を産出したという意味になります。主に再生可能エネルギーにおいての性能を示すときに使われることが多い指標です。

表はコスト等検証委員会が平成25年度に提出した報告を基に作成したものです。2030年時点の発電コスト予測を算出するために、同報告では各発電設備における設備利用率と平均的な稼動年数がまとめられました。太陽光発電の設備利用率は当時目安とされていた12%が採用されています。

http://standard-project.net/solar/words/operation-rate.html
http://standard-project.net/solar/words/operation-rate.html

太陽光の発電設備がどのくらいの設備利用率なのか、風力発電設備はどうなのか、バイオマスはどうなのか、これに対して旧来の火力発電や原子力発電はどうなのか、と比べてみることは、その発電設備がどのくらいの実力を発揮できるのかいう点を、数字で比較できるので、重要だと思います。

設備利用率は車で言えば、最高速度は時速200キロでるけれど、普段は時速100キロでしか走っていないのなら、ここで言う設備利用率、すなわち能力に対する実際の運転状況は50%ということになります。もっと言いますと、例えば100万KWの発電能力がある原子力発電所の設備利用率は70%以上ありますから、凡そ70万KWの実力があることになります。

これに対して太陽光発電ですと、同じ100万KWの発電能力があっても、設備利用率は20%程度ですから、平均して20万KWの実力しかないことになります。これは「原子力発電所100万KWを、同じ発電能力がある太陽光発電で置き換えました!」といっても、実際には実際の働きを比較すると、太陽光発電は原子力発電所に比べて29%しか実力を発揮できないことになります。何故このようになるのかは、様々な理由があるのですが、一つは原子力発電所は24時間安定して操業が出来るのに対して、太陽光発電は、夜間や曇りや雨の日は発電しません。こうした違いがあるのですね。

自然エネルギーであるが故の弱点は、風力発電も同じです。常に24時間一定の風向で一定の風力で風が吹いている場所などないのですから、いたしかたないことです。これら太陽光発電や風力発電の弱点を補うために、蓄電池を組み合わせるなど、自然環境にかかわらず一定の電力を供給できるように技術開発が行われています。