「生分解性プラスチック」とは、バイオマス・リファイナリーのひとつで、主として飼料用トウモロコシなど「穀物でんぷん」から作られたプラスチックのことです。使用後に廃棄された時、土中や海水中などの微生物により分解され、最終的に水と二酸化炭素になることから「生分解性」の名が付きました。
従来の石油原料プラスチックは、燃焼により二酸化炭素等を排出し、地球温暖化の要因となっています。また土中や海水中で分解されず数十~数百年にわたって残存するため、環境汚染と生態系への悪影響を引き起こしています。最近では、新型コロナウイルス流行に伴う不織布(ポリエチレン)マスク使用量が世界的に急増し、その廃棄ゴミによる環境汚染も増えています。
そこで「生分解性プラスチック」の登場です。石油原料プラスチックと比較してカーボンニュートラルであること、焼却しても有害物質は発生しないこと、そして何よりも廃棄したときに土中や海水中の微生物で分解されることなど、環境負荷の低いプラスチックとして注目を集めています。
生分解性プラスチックには、透明性・不透明、軟質・硬質など様々な種類があり、石油原料プラスチックと同様、食品トレイや弁当箱、魚網や釣り糸などの漁業用品、苗ポットなどの農業用品、土嚢やネットなどの建築資材など各分野で実用化が進んでおり、今後も拡大が期待されています。
一方、課題もあります。生分解性プラスチックは熱に弱いこと、そして通常のプラスチックの3〜5倍と値段が高いことです。これらの課題を解決し、今後ますますの普及に向けて、さらなる技術開発が期待されています。