循環資源リサイクルとバイオマス発電

バイオマスコラム

海を漂う大量のプラスチックごみ……。廃プラスチック(廃プラ)が世界中で問題となっています。日本でも近年スーパーなどがこぞってレジ袋を有料化、大手外食企業は使い捨てプラスチックストロー廃止を決定。そもそもプラスチックは分別が難しくリサイクルできない部分が多いのです。また、日本ではリサイクルの優等生と言われてきた古紙も、製紙原料としてリサイクルされた後の余剰分は、最終処分を中国市場などへの輸出で補っているのが実情です。

廃棄物輸出の中国依存が浮き彫りに

中国は、長年にわたり日本をはじめ世界中の廃棄物処理を一手に引き受け、急速な経済発展による国内の原材料不足を、輸入廃棄物で補い生産してきました。ところが環境問題の高まりの中、中国政府は突如方針を転換します。2017年、「国門利剣(ナショナルソード)」政策により、プラスチックゴミや紙類などの固形廃棄物の輸入規制を強化し、2018年からはそれらの輸入を停止。資源ごみ処理を中国に依存していた世界各国に衝撃が走りました。代替としてタイ・ベトナム・マレーシアへの廃棄物輸出が急増するもこれら3か国は共同で地球環境問題を鑑みて、2021年より廃プラスチックの輸入が全面禁止を検討中です。

また、中国は安価な輸入古紙を原料とする紙生産を飛躍的に伸ばしてきました。世界の古紙流通の大半を担うまでの存在になっていたのです。とりわけ日本は中国向けが輸出量全体の半数以上を占めています。

出典:日本製紙連合会webサイト

日本の古紙回収率は、2019年時点で79.5%、前年の2018年は81.6%。古紙の利用率はほぼ横ばいです(下図参照)。

古紙回収率・利用率の推移(出典:古紙再生促進センター)

古紙の場合、未だ廃プラのような深刻な海洋汚染などの問題は顕在化していません。が、今後は緩やかにリサイクル余剰分の処理課題が浮上してくるものと思われます。

発電燃料への発想転換で資源循環を

行き場を失った廃プラと古紙……この状況をプラスに転換する活用案の一つが、古紙や木、廃プラ、繊維くずなどから製造された固形燃料=RPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)です。RPFは塩素ガスやダイオキシンの発生がほとんどなく貯蔵性にも優れ高熱量であるため、パルプ・紙製品・セメント・自動車・タイヤ・製鉄製造業などで、自社工場の発電や蒸気供給用に化石燃料の代替燃料として使用されてきました。

もう一つの活用案が、廃プラや古紙自体をバイオマス発電所の燃料と捉えて化石燃料と混焼するというものです。古紙はバイオマス、廃プラは石油などの化石燃料由来です。従って、たとえば、FIT認定発電所で廃プラや古紙を石炭など化石燃料と混焼した場合、化石燃料を使った発電分をFIT対象から除外すればよいわけです。

化石燃料を燃やすことへの懸念はあるかもしれません。しかし、リサイクルに回せずに海洋汚染やそれによって野生動植物の生態を脅かす、あるいはバイオマスであるのに廃棄処分されてしまうのならば、バイオマス発電所の混焼燃料として活用していく。そのことが、広く地球環境問題に貢献できる可能性もあるのです。