森の間伐はなぜ必要なのか?

バイオマスコラム

スギやヒノキなどの人工林は間伐を行います。なぜ自然のままに放っておいてはいけないのでしょうか?

 

樹木の森の生態系の健康や災害防止

スギやヒノキは過密に植えて、成長段階に応じて間引き伐りをします。              樹木の密度が高まり続けると地面に光が届かなくなり、昼間でも地面に日が当たらず下草も生えなくなります。下草で覆われていない林床では養分を含んだ土も雨で流されてしまいます。木の成長も止まり、幹が細長いひょろひょろした木「線香林」になってしまいます。線香林は根を張る力も弱く、風雪害で折れて大雨が降るたびに根こそぎ流れてしまいます。山は水を蓄える力をなくし、山肌からは落石が絶えず、大水や山崩れといった災害を引き起こします。川に注ぎ込む泥流が海の養殖漁業を壊滅させる危険もあります。    

つまり、人工林の間伐を行うのは、以下のような理由があります。

 

そもそもなぜ人工林は過密に植える?

一般的にスギは1haあたりにおよそ3000本の苗木が植えられます。植林から10~15年後に最初の間伐が行われ、その後も5~10年毎に1~3割ほどの木を伐採し、最終的に主伐される木はおよそ500~600本になると言います。

であれば最初から主伐する500~600本だけ植えればいいのでは?

しかし、スギやヒノキのような針葉樹はまばらに植えると、まっすぐ育たない上に木の下の方が太く、先端に行くに従って細くなってしまいます。商品価値のある建築用木材としては適さなくなってしまうのです。

 

大型機械使用可能な列状間伐への期待

間伐方法には大別すると「普通間伐」と「列状間伐」があります。「普通間伐」は従来の方法で成長の遅い木などを選んで伐採していく間伐です。
一方、「列状間伐」は、成長の良し悪しを考えずに一定の列の木を直線上に伐採する間伐です。普通間伐に比べて「伐採」から「搬出」までの作業を効率化できる反面、成長の遅い木が残ってしまう可能性もあります。

現在、木材の価格が大幅に下がり、林業に携わる人手が減り間伐が行われない人工林が増えてきています。林業の機械化が求められており、列柱間伐には高性能大型林業機械を用いた間伐を可能にする、それに適した方法として期待がかかります。