バイオマスエネルギーと食料の競合

バイオマスコラム

近年の穀物価格高騰の背景には、自然災害、原油価格の高騰、途上国の食料需要増、新興国の畜産消費増に加えて、バイオ燃料の需要増によるバイオエタノール生産の影響があると言われています。

また、バイオエタノールの生産は、その原料となるトウモロコシ・サトウキビ・甜菜等の栽培のための農地転換による森林破壊等の問題も指摘されています。                        世界的にバイオマスエネルギー導入が進む中、食料と競合しないバイオマス利用策の整備が急がれています。

 

第二世代バイオマスの研究開発

一つ目が、第二世代バイオマスと呼ばれる、食料と競合しない非食用のバイマオマスを使った燃料の研究開発です。藻類の他、廃材等の木質バイオマス、稲わら、古紙、おが屑、畜産廃棄物等を原料とするものです。                                         これまではアルコール変換の際の効率の悪さ等が課題でした。しかし、近年はセルロース分解菌の品種改良等技術開発が進むなど、木質バイオマスや稲わらからも燃料生産が可能になっています。

バイオマス認証制度による歯止め

二つ目は、バイオマス燃料認証制度による歯止めです。                   2020年現在、FIT制度では、食料競合への懸念が認められる燃料については「食料競合のおそれがないことが確認されるまでの間は、FIT制度の対象としない」とされています。

 

経産省第6回バイオマス持続可能性ワーキンググループ資料(資源エネルギー庁「バイオマス発電燃料の食料競合について」より)

 

2020年11月、経済産業省・資源エネルギー庁は、バイオマス発電燃料が食料と競合しない判断基準として、農林水産省が作成する食料需給表の品目を基に判断する方針を示しました。

経産省のバイオマス持続可能性ワーキンググループでは、EUの制度を参考に、バイオマス燃料生産の食料競合について、以下の点を中心に検討が進められています。

①原料となるバイオマスが可食か非可食か                           ②間接的土地利用変化の影響はどうか

①の「可食/非可食」の判断には、飼料や肥料をどちらに含めるかという議論も考慮し、「主産物/副産物」の基準が加えられました。

②の「関節的土地利用変化」とは、バイオマス燃料の原料となる非可食作物Aの生産のため可食作物Bの畑を転換した場合、その結果、可食作物Bの生産維持あるいは増産が必要な場合新らに森林を農地転換することになるといった「玉突き状態で間接的に森林が減少する」等の変化を指します。

したがって、非可食バイオマス種でも主産物となる場合は、FITでは新規燃料に認めない方向です。「非可食で副産物のバイオマス種」から検討が進められています。