バイオマス関連認証

バイオマスコラム

バイオマス関連の認証制度は、主にどのようなものがあるのでしょうか?

 

高度経済成長期に植林された人工林が主伐期

林業に「50年伐期」という考え方が生まれたのは、高度経済成長期です。杉の成長のピークを植林から50年と決め、その適齢期(標準伐期)に皆伐して、新しく植林するというサイクルです。日本では、戦後の高度経済成長期に植林された人工林が現在主伐期を迎えています。

 

【バイオ燃料認証】                                          

①パーム油に特化した認証

●RSPO認証

パーム油の国際認証制度として最も認知度が高いものがRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議、Roundtable on Sustainable Palm Oil)認証です。                    RSPOは、2004年、世界自然保護基金(WWF)を含む関係団体が中心となり、持続可能なパーム油の生産と利用を促進することを目的に設立されました。

RSPOには、次の2種類の認証制度があります。

  • P&C認証:農園や搾油工場を対象とした、生産段階で「原則と基準(Principle & Criteria)」に則って持続可能な生産が行われていることの認証。                         
  • SCCS認証:パーム油を使用する製品の製造、加工、流通過程(サプライチェーン)を対象とする、認証パーム油の流通管理システムの認証(Supply Chain Certification System) さらに、RSPOには、生産やサプライチェーンでの管理方式の違いによって、4つの認証モデルがあります。

 

②パーム油以外も含む認証

●RSB認証

RSB(持続可能なバイオ燃料に関する円卓会議、Roundtable on Sustainable Biofuels)は、2007年、スイス連邦工科大学ローザンヌ校を中心に、持続可能なバイオ燃料生産を保証するための環境的要件の普及を目的に設立されました。

RSBは、あらゆるバイオマス燃料の製造、流通全体をカバーするバイオマスの持続可能性を認証する制度です。近年EU諸国では認証パーム油でなければ取り扱わない国や企業が増加。それに伴い、日本でも経済産業相のワーキンググループにて、FIT制度が求めるバイオマスの持続可能性を確認できる第三者認証の審議が行われています。2020年現在、RSPO認証に加え、PKS等パーム油以外の木質バイオマス燃料の認証にRSB認証が追加される方向で進められています。

●GGL認証

2002年設立のGGL(持続可能なバイオマスのための国際認証プログラム、 Green Gold Label)は、バイオマス燃料の持続可能性とトレーサビリティ(追跡可能性)を担保する、最も古い歴史を持つバイオマス認証制度です。

GGL認証は、下記のように、取引仲介者(トレーダー)と製造組織、森林管理、農業に基づく製造システムに由来する非木材製品、発電事業等エネルギー生産者を対象としています。

  • 加工流通過程の管理
  • 森林管理源
  • 農業源
  • 発電/公益事業 (エネルギー生産者)

●ISCC認証

バイオマス全般を対象とした持続可能な炭素認証として定評があるのはISCC(国際持続性カーボン認証、International Sustainability and Carbon Certification)認証です。2006年にドイツで設立されました。ISCCには、「ISCC EU」と「ISCC PLUS」の2つの認証システムがあります。前者はEU域内の運用に特化したもので、EUで発令されたRED(再生可能エネルギー指令、Renewable Energy Directive)およびFQD(燃料品質指令、Fuel Quality Directive)に基づきコンプライアンスの実証を行うものです。

ISCC認証が採用するマスバランスシステムは、製品の生産途中でブレンドされた認証パーム油と非認証パーム油の両者の比率を、最終製品の段階まで厳密に記録して管理する方法です。そこで算出された再生可能含有量と実際の二酸化炭素排出量の削減を証明するものです。EUにおけるバイオ燃料認証の最も有力なスキームであり、2012年よりEUの域内では輸入燃料も含めてISCC等の認証が必要になりました。

 

【森林認証】

●FSC認証

国際的森林認証制度として先駆的なのが、FSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会)です。1993年カナダで創設(2020年現在国際本部はドイツのボン)されています。FSCの基準に則り、適切な森林管理を森林、その材を使った製品、流通過程に至るまで評価します。FSC認証には、森林の管理と経営を対象としたFM認証(Forest Management Certification)と、認証森林の林産物の加工・流通過程の管理を対象としたCoC認証(Chain of Custody Certification)の2つがあります。CoC認証を取得することで、FSC認証マークの表示が可能となります。

日本でも、2000年頃から認証を受ける林業経営者が現れました。三重県の速水林業が初のFSC FM認証を取得、その材を扱う木工所と製材業者2社がCoC認証を取得しました。続いて2001年には三菱製紙八戸工場が国内の製紙工場として初めてCoC認証を取得し、日本でFSC認証紙の生産が始まりました。

●PEFC認証

1999年にパリにて発足したPEFC(PEFC森林認証制度相互承認プログラム、Programme for the Endorsement of Forest Certification Scheme)は、FSCと並ぶ国際森林認証制度です。認証には、FSCと同様「森林が責任をもって管理されているかどうか」を審査し認証するFM認証と、「認証木材から集積された認証材が消費者の手に届くまでの加工・流通過程」を認証するCoC認証の2つがあります。

発足当初は、欧州地域の「汎欧州森林認証制度」(Pan European Forest Certification Schemes)としてスタート、2003年に北米や豪州などヨーロッパ以外の諸国が加わり略称をそのままに「PEFC森林認証制度相互承認プログラム」(Programme for the Endorsement of Forest Certification Scheme)に改称。その名称通り、PFFCは世界各国の認証制度との相互承認を行う、つまり世界統一の規格や基準を設けず、各国独自の審査基準(各地域が策定する森林認証制度)を加盟国家内で相互認証するスキームとなっています。その点がFSCと大きく違っています。                      2003年に誕生した日本独自の森林認証制度SGEC(緑の循環認証会議、Sustainable Green Ecosystem Council)は、2016年にPEFCと相互承認されています。

 

出所:経産省第7回バイオマス持続可能性ワーキンググループ資料