木質バイオマス発電とは

バイオマスコラム

木質バイオマス発電は、木質バイオマスを燃やしてタービンを回して発電する、あるいはそれらを燃料にガスを発生させて発電します。

天候に左右されることなく、燃料を供給する限り安定的に発電することができ、また発電量をコントロールできるという特徴があります。

  

出力規模別にみる適合方式

大別すると、製材端材や木質チップを直接燃焼させて、発電させる「蒸気タービン方式」と、木質バイオマスをガス化して燃焼させる「ガス化-エンジン(ガスタービン)方式」に分かれます。 また、小規模木質バイオマス発電技術として実用化されているものに、「ORC(オーガニックランキンサイクル、Organic Rankine Cycle)」があります。

これを出力規模別にみると、適合する方式は次のようになります。

 

 2,000kWに近い規模の場合:蒸気タービン方式

燃料を燃やして高温高圧の蒸気を作り、その蒸気でタービンを回して発電する仕組みです。火力発電の一般的技術として最も普及しており、運転実績も豊富です。ただ、小規模になるほど燃料費の割合が高くなり、コストの問題が出てきます。そのため、大規模発電施設向きです。小規模の場合は、熱電併給(コージェネレーション)利用による事業採算性向上が期待されており、発電効率を改善した設計の技術開発も進められています。

 

② 数100 kW以下の規模の場合:ガス化発電方式

木質バイオマスを燃料として投入し蒸し焼きにした時に発生するガスを燃料としてガスエンジンやガスタービンで発電を行う仕組みです。小規模でも発電効率が20〜30%と高く、発電出力に対して2〜2.5倍の熱(80〜90℃の温水)が回収可能です。この熱を地域コミュニティの熱供給に利用するなど地産地消型のエネルギーシステムに適しています。高品質の燃料(木質バイオマスペレットまたはチップ)の使用が必須となります。近年は、2,000kW級のガス化発電もみられるようになりました。

 

③ ①と②の中間の規模の場合:ORC発電方式

ガス化と蒸気タービンの間の規模をカバーしているのがORCです。水より沸点が低い有機媒体(シリコンオイル等)と熱交換し、この媒体の蒸気でタービンを回す発電技術です。タービンの回転速度を低く設定できるため中低温の熱源で発電できます。発電効率は蒸気タービンより高いもののガス化には及びません。しかし、燃料の質を問わずメンテナンスの負担が少ないという利点があります。

日本では年間通じた熱需要先の確保が容易ではないこと、また無人運転(ボイラー・タービン主任技術者不要、欧州では可能)が法制度上難しいため普及には至っていません。

 

出典:日本木質バイオマスエネルギー協会