【解説】バイオ燃料とは?わかりやすくメリット・デメリットを説明、提供企業3選

バイオマスコラム

「温暖化対策に貢献できるバイオ燃料に興味がある。しかし、自社に導入すべきか判断できない…」

あなたは、CSR経営の一環として『バイオ燃料』の導入に興味があるのかもしれません。

しかし、

・バイオ燃料って一体どういうものなのか?

・メリット・デメリットは?

・自社はバイオ燃料の利用に向いているのか?

などがわからないため、悩んでいるのではないでしょうか。

バイオ燃料は、温暖化対策に有効なものですが、導入に際しては「注意点」があるほか、業態・業種によって「バイオ燃料の利用が向いている企業・そうでない企業」があるため、注意が必要です。

本記事を読めば、メリットとデメリットを比較したうえで「バイオ燃料を導入するべきか」判断できます。

それでは早速、ご覧ください。

1.バイオ燃料とは?

「バイオ燃料と何か」について、以下3つの観点からご説明します。

・バイオ燃料の概要

・バイオ燃料の種類

・バイオ燃料の原料

1-1.バイオ燃料の概要

バイオ燃料とは、原料に「植物や動物などの生物資源(バイオマス)」が用いられた燃料のことをいいます。

石炭や石油を用いた化石燃料は、多量の二酸化炭素を排出するため、地球温暖化の一因になっています。

その一方、バイオ燃料であれば、動植物が原料になっているため、大気中の二酸化炭素を増やすことはありません。

バイオ燃料を使用するときに発生する二酸化炭素は、もともと大気中にあった二酸化炭素だからです。

バイオ燃料を使用しても、大気中の二酸化炭素の増減はゼロであるという考え方は「カーボンニュートラル」と呼ばれており、「環境経営」や「CSR経営」を行いたい企業や、地球温暖化を推進する市町村から大きな注目を集めています。

バイオ燃料の活用事例としては、ユーグレナ社の取り組みが挙げられます。

同社は2019年に、横浜市と共同で「バイオ燃料地産地消プロジェクト」に取り組み「バイオディーゼル燃料」の提供を行いました。

バイオ燃料の「主な提供先」は以下の通りです。

・川崎鶴見臨港バス

・清水建設の建設用重機

・横浜市内を走る配送トラックや大型トラック

このように、環境にやさしいバイオ燃料の利用が、全国で拡大しています。

1-2.バイオ燃料の種類

バイオ燃料はおおまかに分けて5種類あります。

それぞれの特徴は、以下の表をご参照ください。

バイオ燃料は5種類ある
特徴
バイオエタノール
(液体)
最も普及しているバイオ燃料の一つ。
作物に含まれる糖分を微生物の働きによって発酵し、蒸留して精製される。
バイオディーゼル
(BDF)(液体)
バイオエタノールに並んで、汎用性が高く普及している。
化学処理により、原料からグリセリンを除いたうえで精製される。
バイオジェット燃料
(液体)
化学処理により、油成分を精製することで製造される。
バイオガス
(気体)
廃棄物を微生物(メタン菌)などを用いて発酵させて製造する。
バイオコークス
(固体)
石炭を高温で蒸し焼きにした後に残る炭素部分のこと。
高温環境下での長時間燃焼ができる。

1-3.バイオ燃料の原料

バイオ燃料の原料は、大きく分けて「作物」「油脂」「廃棄物」の3種類があり、そこから5種類のバイオ燃料が精製されます。以下の表をご覧ください。

バイオマスの種類精製されるバイオ燃料
1.作物・サトウキビ
・トウモロコシ
・キャッサバ
・ジャガイモ
・サツマイモ
・ムギ
・タピオカ
・テンサイ
・アブラヤシ
・ナタネ
・ダイズ油
・イネわら※研究中
・もみがら※研究中
・廃棄予定の材木※研究中
バイオエタノール(液体)
2.油脂・菜種油
・パーム油
・オリーブ油
・ひまわり油
・ダイズ油
・コメ油
・大麻油
・魚油
・豚油
・牛油
バイオディーゼル(液体)
3.作物・油脂・ナンヨウアブラギリ
・藻類
・食用廃棄油
バイオジェット燃料(液体)
4.廃棄物①・食用廃棄油バイオディーゼル(液体)
5.廃棄物➁・生ごみ
・下水汚泥
・家畜糞尿
・有機肥料
・汚水
・エネルギー作物
バイオガス(気体)
6.作物・廃棄物・石炭
・木質ペレット
・木チップ
バイオコークス(固体)

「1.作物」の項目にある通り、バイオエタノールは、デンプン質や糖類が豊富に含まれた作物から精製されています。

しかし、世界的な人口増により「食料問題」がクローズアップされるなかで「非食部分(食べられない部分)」や「微細藻類(ミドリムシ)」を活用したバイオエタノールの開発が進んでいます。

つまり、人間の食料ではないものから、バイオエタノールを製造するということです。

2050年には人口が97億人に達することが予想されているなか、環境負荷の低減だけでなく、食料確保の観点からも、バイオ燃料の原料が「精査されている」のです。

注目が高まっているのは「4.廃棄物」を用いたバイオ燃料です。

食用廃棄油などの「廃棄物」を原料にしたバイオディーゼル燃料(BDF)は、「省資源化」の観点で活用される機会が多いものです。

家庭や工場などで不要になった「食用廃棄油」を軽油と混ぜたバイオディーゼルが、市営バスやトラックの燃料として、広く活用されています。

バイオ燃料の導入を検討する際には、どのような原料を使うのかもしっかりと精査しましょう。

バイオ燃料とは何か?について知りたい方は以下の記事もチェック
バイオ燃料とは

2.バイオ燃料を使用するメリット・デメリット

1章を通じて、バイオ燃料とは何かについて、理解できたのではないでしょうか。

しかし、バイオ燃料の導入にあたっては「メリットとデメリット(注意点)」をしっかりと比較したうえで、導入すべきか判断する必要があります。

そのため、第2章では、メリット・デメリット(注意点)について、くわしく解説いたします。

2-1.メリット

バイオ燃料を利用するメリットは「地球温暖化対策」として有効である点です。

冒頭でお伝えした通り、バイオ燃料の燃焼によって発生する二酸化炭素は、もともと大気中に存在していた二酸化炭素を動植物が吸収したものなので、二酸化炭素の排出量を増やしません。

この「カーボンニュートラル」が、バイオ燃料の最大のメリットです。

二酸化炭素を排出する「化石燃料」と比較したときに「地球にやさしいエネルギー」として世界中で活用されています。

1980年頃におけるバイオエタノールの生産量はほぼゼロでしたが、39年後の2019年には60倍に増えています。

出典:国際環境経済研究所「バイオ燃料の現状と将来(1)

また、ほかの再生可能エネルギーと比較した場合にも、バイオ燃料は優位性があります。

それは、太陽光発電や風力発電のように、天候に左右されないことです。

太陽光発電や風力発電は、雨天や曇天時には、エネルギーを作ることができません。

その一方、バイオ燃料ならば、液体や固体、気体として保存できるため、必要な時に必要な量を利用できます。

安定供給できる点でも「実用性の高いエネルギー」といえるでしょう。

2-2.デメリット(注意点)

一方、注意点もあります。それは「コストの高さ」です。

環境省の資料「国産バイオ燃料の大幅な生産拡大について」によると、一般的なガソリンと比べて、1.2倍~3.8倍もコスト高になることがわかっています。

◇燃料価格の比較

ガソリン121円/L
ブラジル産エタノール148円/L
糖みつ144円/L
規格外コムギ152円/L
食用コムギ469円/L

出典:環境省「国産バイオ燃料の大幅な生産拡大について

出典:環境省「国産バイオ燃料の大幅な生産拡大について

「環境経営の一環として、バイオ燃料にどれだけの費用がかけられるか」を加味したうえで、

・バイオ燃料を使用するべきか?

・導入する場合、どのような原料を選ぶべきか

を、精査するとよいでしょう。

3.バイオ燃料の導入が向いている企業の特徴2つ

メリット・デメリットがわかったところで

「どんな企業がバイオ燃料の導入が向いているのか?」

についても、気になると思います。

バイオ燃料の導入が向いている企業には2つの特徴があります。

・燃料の使用がある

・環境経営を推進したい

1つずつ、解説します。

3-1.燃料の使用がある

1つ目が「燃料の使用がある」企業です。

バイオ燃料は大きく分けて5種類あり、利用シーンは、以下のようになります。

ご覧いただくとわかる通り「乗り物のガソリン」や「発電」に使われています。

運送会社や、営業車がある会社、空輸関連、発電所などが「バイオ燃料」の使用に向いているといえます。

◇バイオ燃料は5種類ある

特徴利用シーン
バイオエタノール(液体)最も普及しているバイオ燃料の一つ。
作物に含まれる糖分を微生物の働きによって発酵し、蒸留して精製される。
・車のガソリン
バイオディーゼル(BDF)(液体)バイオエタノールに並んで、汎用性が高く、普及しているバイオ燃料。
化学処理により、原料からグリセリンを取り除いたうえで精製される。
・車のガソリン
バイオジェット燃料(液体)化学処理により、油成分を精製することで製造される。・飛行機のガソリン
バイオガス(気体)廃棄物を微生物(メタン菌)などを用いて発酵させて製造する。・車のガソリン
・発電
・温水プール
・調理用のガス
バイオコークス(固体)石炭を高温で蒸し焼きにした後残る炭素部分のこと。
高温環境下での長時間燃焼ができる。
・火力発電所

自社には、バイオ燃料を使用するシーンがあるか、精査しましょう。

3-2.環境経営を推進したい

加えて、「環境経営を推進したい」という思いがある企業も、バイオ燃料の導入がおすすめできます。

たとえば「バイオディーゼル燃料」の場合「軽油:バイオ燃料=95:5」の割合で混合されたものが流通しており、そうした燃料を使用することで、二酸化炭素の排出量を5%削減することができます。

バイオ燃料は、普段使っている燃料を置き換えるだけで、環境経営が実現できる点で大きなメリットがあります。

設備が必要な太陽光発電や風力発電と比べると「導入の手軽さ」の観点で、おすすめでき、ます。

実際に、さまざまな企業が、バイオ燃料を活用しています。

◇バイオ燃料を活用している企業例

いすゞ自動車「ミドリムシ」を使った「バイオディーゼル燃料」を使い、藤沢工場のシャトルバスを運行している。(2020年)
日本航空(JAL)フランスのトゥールーズにあるエアバスの工場~羽田空港のフライト時に「バイオジェット燃料」を活用している(2019年)
NTT東日本NTT東日本の環境活動「Green of ICT」の一環として、2015年よりバイオディーゼル燃料の導入を開始した(2017年)

「CSR経営」や「SDGs経営」を行いたい場合には、バイオ燃料の活用を検討しましょう。

ここまでの記事の内容をまとめます。

以下を参考に、バイオ燃料を「導入すべきか」ご判断いただければ幸いです。

バイオ燃料とは?
特徴・原料に「植物や動物などの生物資源(バイオマス)」が用いられた燃料のこと
・「カーボンニュートラル」の観点から推奨されている
・廃棄物を活用したバイオディーゼル燃料が注目されている
メリット・地球温暖化の対策に有効
・ほかの再生可能エネルギーよりも安定供給できる
デメリット・コストが高い
導入が向いている
企業の特徴
・燃料の使用がある
・環境経営を推奨したい

4.バイオ燃料を提供する日本の企業3選

「自社でバイオ燃料を使用したい」と考えた場合、実際にバイオ燃料を製造している企業へのコンタクトを取りたいですよね。

そこで、バイオ燃料の製造メーカーをを3社紹介したいと思います。

バイオ燃料を提供する日本の企業3選
・株式会社エコERC
・有限会社千田清掃
・MOIL株式会社

4-1.株式会社エコERC

株式会社エコERCは、バイオディーゼル燃料を提供する会社です。

エコマーク商品として認定された「B5混合軽油(B5)」を提供しています。同社のバイオディーゼル燃料は、軽油に5%のバイオディーゼル燃料が混合されているため、二酸化炭素の削減効果(5%)が得られます。

SGDs経営や環境経営を推進したい方は、この会社に問い合わせてみましょう。

事業概要・バイオディーゼル燃料の製造、販売
・BDF5%混合軽油の製造、販売
・廃食用油の回収
住所北海道帯広市東二条南29丁目2番地6
HP株式会社エコERC

4-2.有限会社千田清掃

有限会社千田清掃は、飲食店や食品工場から廃棄される「食用油」を用いたバイオディーゼル燃料を製造している会社です。

宮城県で東北経済産業局の認可を得たバイオディーゼル燃料「B5」は、JIS規格の認証を得ています。これを使用することで、企業は5%の二酸化炭素削減に貢献できます。

CSR活動やSDGsの一環として、バイオディーゼル燃料を利用したい方は、この会社に問い合わせてみましょう。

企業概要・バイオディーゼル燃料の製造、販売
・し尿、浄化槽汚泥の収集業務
・給排水工事
・環境教育、啓蒙活動
住所宮城県大崎市古川狐塚字西田77番地
HP有限会社千田清掃

4-3.MOIL株式会社

MOIL株式会社は藻や「カメリナ」などのバイオマス原料を用いた「航空機用のジェット燃料」を製造・販売している会社です。

航空機関連のビジネスに関わっている方は、この会社に問い合わせてみましょう。

事業概要バイオマス燃料の製造、販売
住所東京都千代田区岩本町2-5-12岩本町ツインサカエビル9F
HPMOIL株式会社

5.バイオ燃料の調達は『業者選定』が重要

4章では、3社のバイオ燃料メーカーをご紹介しましたが、こちらはあくまでも「一例」です。

もしも、あなたがバイオ燃料の導入を前向きに検討しているならば「調達先の選定」は慎重に行いましょう。

なぜならば、提供事業者によって、販売コストも品質も「ピンキリ」ですし、自社の用途に合うバイオ燃料を製造しているかは、問い合わせて詳しい話を聞かないとわからないからです。

さまざまな事業者がいるため、満足のいく調達ができるとは限らないのです。

そのため、バイオ燃料を調達する場合には、複数の事業者に相見積を取ったり、詳しい話を聞くなどして、比較検討することが大切です。

もしも「比較検討する時間がない」「自分で事業者を選定する自信がない」という場合には「YK Partners」までご相談ください。

複数社の燃料メーカーのなかから、貴社のビジネスモデルやニーズにマッチした1社をご紹介することが可能です。

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YK partnersについて
YK Partners代表・草野 善信(クサノ ヨシノブ)の経歴
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6.まとめ

いかがでしたか。

「バイオ燃料とは何か?」といったことについて、理解が深まったのではないでしょうか。ここで本記事のまとめを入れます。

「バイオ燃料とは」まとめ
●バイオ燃料とは?

・原料に「植物や動物などの生物資源(バイオマス)」が用いられた燃料のこと
・「カーボンニュートラル」の観点から推奨されている
・廃棄物を活用したバイオディーゼル燃料が注目されている

・バイオ燃料は5種類ある
ーバイオエタノール
ーバイオディーゼル(BDF)
ーバイオジェット燃料
ーバイオガス
ーバイオコークス

●バイオ燃料を使用するメリット

・地球温暖化対策に有効
・天候に左右されないため、ほかの再生可能エネルギーよりも安定供給できる

●バイオ燃料を使用するデメリット(注意点)

・コストが高い

●バイオ燃料を使用が向いている企業の特徴2つ

・燃料の使用がある
・環境経営を推奨したい

●バイオ燃料を提供する日本の企業3選

・株式会社エコERC
・有限会社千田清掃
・MOIL株式会社

●バイオ燃料の調達は『業者選定』が重要

・提供事業者によって、販売コストも品質も「ピンキリ」なため、調達先の選定は慎重に行おう

本記事が、バイオ燃料について知りたい方のお力になりましたら幸いです。