【解説】バイオマスマークとは?認定取得のメリットとつけられる商品

バイオマスコラム

バイオマスマークとは、生物資源(バイオマス)の割合が「10%以上(乾燥重量)」で、品質および安全性が、一定の基準を満たしている商品に表示できるマークです。

植物をはじめとした生物資源(バイオマス)は、大気中の二酸化炭素を吸収して生長するため、燃焼させても、大気中の二酸化炭素を増やさない(=カーボンニュートラルである)ことから、環境にやさしい資源として注目されています。

商品にこのマークをつけることで、商品の購買促進につながったり、商品・企業の「ブランドイメージの向上」に役立つ点で、大きなメリットがあります。

ただし、バイオマスマークをつけられる対象商品は限られており、商品に「生物資源(バイオマス)」を使用していても、認定を受けられない場合があるため、注意が必要です。

本記事では、

・バイオマスマークをつけられる商品

・バイオマスマークを取得するメリット

・バイオマスマークを取得する注意点

等について解説します。そのため、「自社商品は、バイオマスマーク認定を取得すべきか」について、判断ができるようになります。

それでは早速、ご覧ください。

1.バイオマスマークとは?

出典:一般社団法人日本有機資源協会(JORA)「バイオマスマーク

バイオマスマークの定義は、冒頭でご説明した通りです。

バイオマスマークとは?
生物資源(バイオマス)の割合が「10%以上(乾燥重量)」で、品質および安全性が、一定の基準を満たしている商品に表示できるマーク。「環境推進商品」の目印である。

とりわけ注意すべきなのが、生物資源(バイオマス)の原料は「植物」のみに限定されている点です。以下に挙げたような資源を用いることはできません。注意しましょう。

バイオマスマークの対象外となる資源
・石油資源
・生き物
・動植物の粗製品(毛皮・骨・種子・鑑賞用の草花・木材)
・食品
・医薬品

2.バイオマスマークをつけられる商品

前項の通り、バイオマスマークをつけられる商品には、一定の基準があります。

具体的には、以下に挙げるような商品は、バイオマスマークの認定実績があります。

2021年11月16日現在、上記合計で1270商品が、バイオマスマークの認定を取得しています。

協会が定める諸基準を満たせば、バイオマスマークの認定を受けられる可能性があります。

参考にしてみてください。

◇バイオマスマークの認定取得の実績がある商品例

商品ジャンル具体例
日用品・ボタン
・スポンジクリーナー
・トイレットペーパー
・不織布
・おしぼり
・カトラリー
事務用品・スティックのり
・セロハンテープ
・養生テープ
・ボールペン
・封筒
繊維・ロープ
・生地
・ブラシ用繊維
・機能性レーヨン
物流・包装・容器
・包装フィルム
・ポリ袋
・肥料用ボトル
・レジバッグ
・トレー
土木・建築・セーフティコーン
・壁紙
・耐震、防振、滑り止めマット
・合板
・化粧板
農林・漁業・育苗ポット
・樹木や果実などを野生鳥獣による食害から守るプロテクター
情報・通信・液晶ディスプレイに使用される視野角拡大フイルム
・液晶ディスプレイに使用される表面反射防止フイルム
その他・インキ
・レジン(樹脂)
・シリカ
・接着剤

出典:一般社団法人日本有機資源協会(JORA)「バイオマスマーク認定商品

3.バイオマスマークの認定を取得するメリット・注意点

バイオマスマークの認定取得には、メリット・注意点があります。

メリット:消費者の購買意欲を促進できる

注意点:認定ラベルを認知されない可能性がある

一つずつ、みていきましょう。

3-1.バイオマスマークの認定を取得するメリット

メリットは「消費者の購買意欲を促進できる」という点です。

バイオマスマークがついている商品は「サステイナブルなもの」というイメージから、消費者の購買意欲を促進できる可能性があるのです。

以下は、2019年に博報堂が行った「生活者のサステナブル購買行動調査」の結果です。

ご覧の通り、昨今の商品者は「持続可能な社会の実現」に対する興味・関心が高く、環境負荷の低い商品を購入する傾向があることがわかります。

「生活者のサステナブル購買行動調査」の結果
・環境や社会に悪い影響を与える商品は買わない  54.6%
・環境や社会のためになる商品を積極的に買う   39.9%
・生産・製造時に環境に負荷をかけない商品を買う 38.6%
・環境・社会貢献活動に積極的な企業の商品を買う 38.5%

出典:博報堂「『ミニマル(最小限)』『ロングライフ(長期的)』『サーキュラー(循環)』3つのサステナブル基準で選ぶ生活者

とりわけ注目すべきなのが「環境・社会貢献活動に積極的な企業の商品を買う」という項目に対して「はい」と答えた人の割合が「38.5%」に達している点です。

商品の包装紙やポリ袋などにバイオマスマーク商品を利用することで、自社商品への購買意向が高まる可能性があります。

「売上を向上させたい」

「企業や商品のブランド力を高めたい」

といった願望がある方は、バイオマスマークの認定取得を検討してみましょう。

3-2.バイオマスマークの認定を取得する注意点

バイオマスマークの認定取得を行う際の注意点としては「認定ラベルを認知されない可能性がある」という点が挙げられます。

2019年に博報堂が行った「生活者のサステナブル購買行動調査」では、「エコ関連の認証ラベル」に対して、以下のような課題が挙がりました。

「生活者のサステナブル購買行動調査」の結果
・認証ラベルがついていることに気づかないことが多い 76.1%
・種類がたくさんありすぎてよくわからない      76.0%
・内容が分からないので参考になりにくい       70.4%

出典:博報堂「 『ミニマル(最小限)』『ロングライフ(長期的)』『サーキュラー(循環)』3つのサステナブル基準で選ぶ生活者

つまり、認証ラベルそのものの認知度が低く、商品購入の決め手にならない可能性があるということです。

こうした事態を防ぐためには、以下のような対策が考えられます。

バイオマスマークお商品につける際の対策例
・「バイオマスマークとは何か」「バイオマスマークによって環境負荷が低減する」など、マークの概要と効能について、パッケージ等に端的に記載する
・バイオマスマークに関する説明を、企業ホームページにも掲載する

ただ単にバイオマスマークをつけるのではなく「有用性」を、しっかりと説明し、消費者の理解を促進することを心がけてください。

改めて、メリット・注意点をまとめます。

バイオマスマークを商品につける際のメリット・注意点
メリット:消費者の購買意欲を促進できる
注意点:認定ラベルを認知されない可能性がある

上記を参考に、バイオマスマークの認定を取得するか否か、判断してみてください。

4.バイオマスマークの認定を取得する方法

メリットと注意点を踏まえたうえで「自社商品にバイオマスマークをつけたい」と考えた場合、

どのように認定を取得するのか?

が気になるのではないでしょうか。

結論からいえば、全部で「3STEP」あります。

バイオマスマークの認定を所得する3STEP
STEP1:申請書類を用意する
STEP2:「申請書類の提出」と「審査料の振込」を行う
STEP3:「マーク使用料」を支払い、バイオマスマークの認定を取得

一つずつ、みていきましょう。

4-1.STEP1:申請書類を用意する

まずは、各回の申請書の受付締切日までに、申請書類を用意しましょう。

用意すべき書類は以下の4点です。

バイオマスマークの認定に必要な書類
・様式1 バイオマスマーク商品認定申請書
・様式2 バイオマスマーク商品認定申請者情報登録書
・様式3 バイオマスマーク認定申請商品原料構成表
・様式4 バイオマス度計算書

最新の書式は、一般社団法人日本有機資源協会(JORA)の「申請書類」の「バイオマスマーク認定前の方」にリストアップされているものをご確認ください。

4-2.STEP2:「申請書類の提出」と「審査料の振込」を行う

審査スケジュールを確認のうえ、「申請書類の提出」と「審査料の振込」を行いましょう。

2021年度の審査スケジュールは以下の通りです。

2021年度の審査スケジュール
6回目 申請書受付締切日/2021年12月20日(月)
7回目 申請書受付締切日/2022年01月20日(木)
8回目 申請書受付締切日/2022年02月18日(金)
9回目 申請書受付締切日/2022年03月18日(金)

出典:一般社団法人日本有機資源協会(JORA)「申請書類

審査料は「2万2000円(税込)」です。振込先等は「バイオマスマーク事業に関する費用について」に記載されています。

4-3.STEP3:「マーク使用料」を支払い、バイオマスマークの認定を取得

審査の結果、基準を満たす商品だと認められれば、バイオマスマークの認定取得となります。

マーク使用料等の支払いを行うことで、マークの使用が可能になります。

マークの使用に関する料金
・マーク使用料:13万2000円/件(バイオマスマーク使用契約締結日から2年毎)
・マーク使用更新料:5500円/件(バイオマスマーク使用契約更新時毎)

出典:一般社団法人日本有機資源協会(JORA)「バイオマスマーク

詳しくは、協会に問い合わせてみてください。

5.バイオマスマークとバイオマスプラマークの違い

出典:日本バイオプラスチック協会「バイオマスプラ識別表示制度

混同されがちな認定ラベルに「バイオマスプラマーク」があります。

それぞれの違いについて、説明します。

バイオマスマークの概要は、先述の通りです。

バイオマスマークとは?
生物資源(バイオマス)の割合が「10%以上(乾燥重量)」で、品質および安全性が、一定の基準を満たしている商品に表示できるマーク。「環境推進商品」の目印である。

一方、バイオマスプラマークとは、日本バイオプラスチック協会(JBRA)が認定するマークです。

植物等のバイオマス資源由来のプラスチックを「25.0重量%以上」配合するなど、一定の基準を満たしたものに付与されるマークです。

バイオマスプラスチックの基準
1. PL分類Aに登録されたバイオマス由来合成高分子化合物、又は、分類Eに登録されたバイオマス由来熱硬化性プラスチック原料組成中のバイオマス由来成分を、25.0重量%以上含まなければならない。
2. 全ての構成材料(成分)は当協会指定の使用禁止物質に該当しないこと。
3. 特定有害物質は使用しないこと。意図的使用がない場合でも 指定する最大許容濃度を超えないこと。

出典:日本バイオプラスチック協会「識別表示制度

それぞれの違いを端的にまとめると、以下の通りになります。

バイオマスマークとバイオマスプラマークの違い
・バイオマスマーク:成分中のバイオマスの乾燥重量が「10%以上」であることを認証するマーク
・バイオマスプラマーク:バイオマスプラスチックの重量割合が「25%以上」であることを認証するマーク

バイオマスマークの方が、認定取得の基準がゆるめです。また、プラスチック製品に限らず、あらゆる製品の申請が可能な点もバイオマスマークの大きな特徴です。

バイオマスプラマークの場合には、正会員・賛助会員・マーク会員のいずれかになる必要があり、料金はもっとも安いマーク会員で「入会費:10万円」「年会費:8万5000円」です。コスト面でも、バイオマスマークの方が、安いです。

「認定取得のハードル」と「料金」で考えた場合、バイオマスマークの方が、ハードルが低いといえます。

6.まとめ

いかがでしたか。

本記事を読んで「バイオマスマークとは何か」について、理解が深まったのではないでしょうか。

ここで本記事の内容をまとめます。

●バイオマスマークとは?

生物資源(バイオマス)の割合が「10%以上(乾燥重量)」で、品質および安全性が、一定の基準を満たしている商品に表示できるマーク。「環境推進商品」の目印である

●バイオマスマークをつけられる商品

◇バイオマスマークの認定取得の実績のある商品例

商品ジャンル具体例
日用品・ボタン
・スポンジクリーナー
・トイレットペーパー
・不織布
・おしぼり
・カトラリー
事務用品・スティックのり
・セロハンテープ
・養生テープ
・ボールペン
・封筒
繊維・ロープ
・生地
・ブラシ用繊維
・機能性レーヨン
物流・包装・容器
・包装フィルム
・ポリ袋
・肥料用ボトル
・レジバッグ
・トレー
土木・建築・セーフティコーン
・壁紙
・耐震、防振、滑り止めマット
・合板
・化粧板
農林・漁業・育苗ポット
・樹木や果実などを野生鳥獣による食害から守るプロテクター
情報・通信・液晶ディスプレイに使用される視野角拡大フイルム
・液晶ディスプレイに使用される表面反射防止フイルム
その他・インキ
・レジン(樹脂)
・シリカ
・接着剤

●バイオマスマークを取得するメリット・注意点

メリット:消費者の購買意欲を促進できる

注意点:認定ラベルを認知されない可能性がある

●バイオマスマークの認定を取得する方法

STEP1:申請書類を用意する

STEP2:「申請書類の提出」と「審査料の振込」を行う

STEP3:「マーク使用料」を支払い、バイオマスマークの認定を取得

●バイオマスマークとバイオマスプラマークの違い

・バイオマスマーク

成分中のバイオマスの乾燥重量が「10%以上」であることを認証するマーク

・バイオマスプラマーク

バイオマスプラスチックの重量割合が「25%以上」であることを認証するマーク

本記事が、バイオマスマークについて知りたい方のお力になれましたら幸いです。