地球温暖化に関する国際的な枠組みである「パリ協定」が2015年に発効して以来、世界中のグローバル企業が「再生可能エネルギー」に熱いまなざしを注いでいます。
そうしたなかで、海外にはどのような再生可能エネルギー企業があるのか、気になった方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、世界から注目されているアメリカの再生可能エネルギー企業を4社ご紹介します。
「再生可能エネルギー関連企業の特徴・動向が知りたい」という方におすすめの記事です。
それでは早速、ご覧ください。
目次
1.世界から注目されている再生可能エネルギー企業4選
第1章では、世界から注目されているアメリカの再生可能エネルギー企業を4社ご紹介します。
・ネクステラ・エナジー(NextEra Energy)
・リニューアブル・エナジー・グループ(Renewable Energy Group)
・アルトイングレディエンツ(Alto Ingredients)
・エンビバパートナーズ(Enviva Partners)
1社ずつ、みていきましょう。
1-1.ネクステラ・エナジー(NextEra Energy)
「ネクステラ・エナジー(NextEra Energy)」は、アメリカのフロリダ州に本社をかまえています。同社の時価総額は1000億ドルを超えており、再生可能エネルギー業界における世界最大手の会社として知られています。
子会社である「NextEra Energy Resources,LLC(NEER)」や関連会社と連携して、太陽光や風力などの「再生可能エネルギー」を用いた発電事業を手掛けているほか、天然ガスのパイプライン事業や送配電設備の管理・運用も行っています。
再生可能エネルギーというと、発電コストが懸念されがちですが、同社では、発電コストの低廉化に取り組んでおり、その姿勢が高く評価されています。
2019年には、アメリカのビジネス誌「Fortune」が行った「世界で最も称賛される企業2019」のランキングで、電気ガス業界の部門の「1位」に選出されました。
加えて、2020年の秋には、石油関連の大手であるエクソンモービルの時価総額を一時的に抜き、アメリカで上場しているエネルギー関連企業のトップになりました。
アメリカの再生可能エネルギー業界で今、もっとも実績を上げている企業の一つが、ネクステラ・エナジー(NextEra Energy)なのです。
ネクステラ・エナジー(NextEra Energy) |
「ネクステラ・エナジー(NextEra Energy)」のホームページ |
1-2.リニューアブル・エナジー・グループ(Renewable Energy Group)
「リニューアブル・エナジー・グループ(Renewable Energy Group)」は、アメリカのアイオワ州エイムズに拠点を置くバイオディーゼルメーカーです。
アメリカとヨーロッパに製油所を構えており「北米最大のバイオディーゼルメーカーの一つ」に数えられています。
顧客は、運輸業、小売、農業、コンビニエンスストア、建設会社など多岐にわたります。
同社のバイオディーゼル燃料は、ディーゼルと比較した場合、温室効果ガスの排出量が50%以上少ないことが知られています。加えて、
・5億1900万ガロンのクリーン燃料の製造(2020年)
・420万mtの炭素の削減
を実現した実績もあります。
同社は、温室効果ガスの排出量を12年連続で削減することに成功したサッカーチーム「マンチェスター・ユナイテッド」の公式サポーターになっていることでも知られています。
リニューアブル・エナジー・グループ(Renewable Energy Group) |
「リニューアブル・エナジー・グループ(Renewable Energy Group)」のホームページ |
1-3.アルトイングレディエンツ(Alto Ingredients)
「アルトイングレディエンツ(Alto Ingredients)」は、アメリカでバイオベース(とうもろこし)のアルコール類等を製造するメーカーです。旧社名は「パシフィック・エタノール(Pacific Ethanol)」です。
150年以上、アルコールの蒸留を行ってきた歴史ある会社として知られており、エタノールの生産量は、アメリカで第6位です。
同社では、飲料メーカー向けにバイオベースの飲用蒸留酒を供給するほか、消毒用エタノールなども製造しています。
生産拠点はアメリカで、カルフォルニア州、オレゴン州、アイダホ州、イリノイ州、ネブラスカ州に9つの生産施設を有しています。
同社は、アメリカ国内で「低炭素再生可能燃料」「高付加価値の資料」「高品質のアルコール製品の生産・販売」のリーディングカンパニーになることを目指しています。
これらの目標を達成すべく
・エタノールの生産や流通のためのインフラ投資
・エタノールの低炭素化
・グローバル化
・新技術の導入による生産性の向上
などに注力しています。
アルトイングレディエンツ(Alto Ingredients) |
「アルトイングレディエンツ(Alto Ingredients)」のホームページ |
1-4.エンビバパートナーズ(Enviva Partners)
出典:エンビバパートナーズ(Enviva Partners)
「エンビバパートナーズ(Enviva Partners)」は、メリーランド州ベテスダに本社をかまえる木質ペレットの大手生産メーカーです。
風力発電所や太陽光発電所の燃料として、木質ペレットを製造しています。
グローバル本社はアメリカ、イギリス、日本、ドイツに3か所あるほか、バージニア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、ジョージア州、ミシシッピ州、フロリダ州には、10の工場を所有しています。
同社では、年間620万tもの木質ペレットを製造することが可能で、大手バイオマス燃料メーカーの一つに数えられています。
木質ペレットの主な輸出先は、イギリスをはじめとするヨーロッパと日本です。
2021年には、電源開発株式会社(Jパワー、本社:東京都中央区)の発電事業用の燃料として、エンビバパートナーズが製造する木質ペレットを年間最大500万t供給することについて共同検討することがニュースになりました。
エンビバパートナーズ(Enviva Partners) |
「エンビバパートナーズ(Enviva Partners)」のホームページ |
2.バイオマス企業のユニークな取り組み
世界には、さまざまな再生可能エネルギー企業があることが、ご理解いただけたのではないでしょうか。
その一方で、日本の再生可能エネルギー関連企業も、ユニークな取り組みを行っています。
最近、話題になっているのが、損保ジャパンとブルー・バイオマスフューエルが共同開発したバイオマス発電事業者向けの「バイオマス燃料供給補償保険」です。
一言でいえば「安定的な燃料の確保+万が一の補償」が行える保険です。
バイオマス発電事業者が、バイオマス燃料を製造するブルー・バイオマスフューエルと「燃料供給契約」を結ぶことで、燃料の安定供給が実現するとともに、自然災害などにより、ブルー・バイオマスフューエルからの燃料供給が行われなくなった場合には、同社から損害賠償を受けることができるものです。
燃料供給補償保険付バイオマス燃料の特徴 |
1)安定的なバイオマス燃料供給を実現 従来の損害保険ではカバーできなかった、燃料の納入遅延や納入不能に伴う代替燃料調達費用や発電不能による損害をカバーし、バイオマス燃料を安定的に供給します。 2)約定履行費用保険でバックアップ体制万全 従来の損害保険ではカバーできなかった、燃料の納入遅延や納入不能に伴う代替燃料調達費用や発電不能による損害をカバーし、バイオマス燃料を安定的に供給します。 3)日本で初めて主要な不可抗力リスクをカバー ①従来不可抗力として免責とされていた火災・爆発・洪水・台風・地震リスク等を保険でカバー。代替燃料調達費用や売電不能に陥った場合の発電事業者が被る損害を補償します。 ②マレーシア国内のプランテーションから日本国内の供給先にいたるまで、全工程におけるリスクをカバーします。 |
出典:ブルー・バイオマスフューエル「燃料供給補償保険付バイオマス燃料」
FITの認定を受けているバイオマス発電所のうち、実際に稼働しているのは4割程度となっています。
その背景にあるのは、安定的に燃料を供給できるバイオマス燃料の「調達先」が見つからないことによる資金調達難だといわれています。
この保険の登場により、バイオマス発電所の稼働率の向上が期待できるでしょう。
3.まとめ
いかがでしたか。
再生可能エネルギー関連のグローバル企業について、理解が深まったのではないでしょうか。ここで本記事の内容をまとめます。
●世界から注目されている再生可能エネルギー企業4選
・ネクステラ・エナジー(NextEra Energy)
・リニューアブル・エナジー・グループ(Renewable Energy Group)
・アルトイングレディエンツ(Alto Ingredients)
・エンビバパートナーズ(Enviva Partners)
●日本のバイオマス企業のユニークな取り組み
損保ジャパンとブルー・バイオマスフューエルが共同開発したバイオマス発電事業者向けの「バイオマス燃料供給補償保険」が登場している。
本記事が、再生可能エネルギー関連のグローバル企業について知りたい方のお力になりましたら幸いです。