バイオマスコラム
2026.02.26

【緊急寄稿】息子・峻輔 魂の奮闘記。~なぜ三菱自動車『エクスパンダー』は、ベトナムで「シェア6倍・売上No.1」を達成できたのか?~ 

出典:朝日新聞「インドネシアとベトナムで「大ヒット車」誕生「絶対に妥協しない」痛恨の失敗で芽生えた覚悟

こんにちは。

YKパートナーズの草野です。

今日は、バイオマスの専門的なお話からは少し離れますが、読者の皆さんにシェアしたい記事がありましたので、ご紹介させてください。

先日、三菱商事に勤める息子の峻輔が、朝日新聞のインタビューを受けました。

【朝日新聞】
インドネシアとベトナムで「大ヒット車」誕生
「絶対に妥協しない」痛恨の失敗で芽生えた覚悟

2010年代半ばから、インドネシアを舞台に三菱自動車の「エクスパンダー」を大ヒットさせた軌跡が綴られていたのですが、その冒頭の一文に、私は思わず目頭が熱くなりました。

それは、息子がインタビューで「総合商社に就職しようと考えたのは、父の影響が大きいです」と語ってくれていたからです。

峻輔がまだ幼かった頃、私はセメントや木材チップ、パルプなどの資材を取り扱う商社マンでした。そのため、家族と一緒に、サウジアラビアや南アフリカなどの異国に駐在していました。

私自身、家ではあまり仕事の話をしない方でしたが、峻輔には時折、環境ビジネスの話をしたり、ウッドペレットの現物を見せたりしていたのです。私自身、その当時の記憶はおぼろげです。

ですが、峻輔自身は、その当時の記憶を大切に握りしめ、「自分もグローバルな場で社会に貢献したい」と、私と同じ商社の道を選んだのです。

どんな道に進んだとしても、私は息子の夢を全力で応援します。

ですが、正直に言えば、息子が自分と似たような道を目指してくれたことに、やはり、ほんのちょっぴり嬉しい気持ちもありました。

記事を読み進めるうちに、約10年前の峻輔がみせた「仕事への向き合い方」に、私自身がハッとさせられました。

「売れるわけない」という逆風を、圧倒的な熱量で突破!

2010年代半ば、当時のインドネシアでは三菱自動車の乗用車シェアはわずか2〜3%でした。

「三菱に、乗用車を売る力なんてない」

そんな冷ややかな声が社内からも上がるほどの逆風の最中、新型車「エクスパンダー」のプロジェクトに峻輔はアサインされました。

まず峻輔が行なったのは、ショッピングセンターの駐車場に30回も通い詰め、ひたすら顧客を観察することでした。

「車内に履き替え用の靴を何足も置いている」という現地のリアルな生活習慣。さらには、パワー不足が露呈したエンジンでは「インドネシアの坂道は登れない」と、周囲の協力を得ながら1.5リットルへの仕様変更を粘り抜いた執念——。

その泥臭い「プロとしての情熱」が、やがて奇跡を呼びました。

2017年のモーターショーの会場には、見たこともないような人だかりができ、注文が殺到したのです。

そして、赴任中の6年間でシェアを「2〜3%」から「約13%」へと一気に拡大。「エクスパンダー」は競合他社を抑え、2年連続でベトナムで「最も売れた車」に。

「エクスパンダ―」は、かつては誰もが想像もできなかった、“ナンバーワンの座”に輝いたのです。

「ブレない・逃げない姿勢」の大切さ

その後、峻輔は、ベトナムで乗用車(Mitsubishi Motors Vietnam(MMV))の販促プロジェクトにアサインされました。

その際、前向きな話し合いができないディーラーとの「契約解消」という、苦渋の決断も下してきました。

当然、激しい反発もありましたが、それでも逃げずに一人ひとりと真摯に向き合い続けました。

その誠実さは、帰国する際にディーラーの皆さんから「Kusanoありがとう」「エクスパンダーNo.1おめでとう」というメッセージと共に、デコレーションケーキが贈られたというエピソードに凝縮されています。

耳あたりの良いことだけを言って、その場をなだめることは簡単です。

でも、数字や現場の実態から目をそらさず、必要なことはきちんと伝える。たとえ反発があっても、未来のために最後まで逃げずに向き合う——その姿勢に私は心から感動しました。

そして、心の中で、「大変だったね、でもよくやったね」と、心の中でエールを送りました。

ブレない人は、逃げません。

逃げない人は、最後まで責任を持ちます。

だからこそ、お客様から「任せられる相手」になれるのです。

「ブレない・逃げない姿勢」の大切さは、そのままバイオマス事業にも当てはまります。

バイオマスは、水素やアンモニアのような派手な「夢のエネルギー」ではありません。既存の設備や流通網を活かしながら、着実に脱炭素へ貢献していく“積み上げ型”のエネルギーです。

だからこそ、エネルギー業界の制度改正の逆風が吹き荒れても、市場が激変しても、最終的には、ユーザーから選ばれる燃料であり続けるのだと思うのです。

そして、サプライヤー側も、バイオマス燃料を「本当に必要とされる燃料」になるために、ブラックペレット化を含めた「性能向上」に目をそらさず、真摯に向き合っていくことが何より大事になると思います。

かつて私の背中を見ていた息子・峻輔が、今、私に大切なことを思い出させてくれました。

「よし、私もまだまだ、ブレずにやり続けなければ」と。

これからも、「ブレない・逃げない姿勢」を大切に、皆様と共に歩んでいきたいと思います。

今日はこのへんまで。また次回のバイオマスコラムでお会いしましょう!