出典:朝日新聞「インドネシアとベトナムで「大ヒット車」誕生「絶対に妥協しない」痛恨の失敗で芽生えた覚悟」
こんにちは。
YKパートナーズの草野です。
今日は、バイオマスの専門的なお話からは少し離れますが、読者の皆さんにシェアしたい記事がありましたので、ご紹介させてください。
先日、三菱商事に勤める息子の峻輔が、朝日新聞のインタビューを受けました。
2010年代半ばから、インドネシアを舞台に三菱自動車の「エクスパンダー」を大ヒットさせた軌跡が綴られていたのですが、その冒頭の一文に、私は思わず目頭が熱くなりました。
それは、息子がインタビューで「総合商社に就職しようと考えたのは、父の影響が大きいです」と語ってくれていたからです。
峻輔がまだ幼かった頃、私はセメントや木材チップ、パルプなどの資材を取り扱う商社マンでした。そのため、家族と一緒に、サウジアラビアや南アフリカなどの異国に駐在していました。
私自身、家ではあまり仕事の話をしない方でしたが、峻輔には時折、環境ビジネスの話をしたり、ウッドペレットの現物を見せたりしていたのです。私自身、その当時の記憶はおぼろげです。
ですが、峻輔自身は、その当時の記憶を大切に握りしめ、「自分もグローバルな場で社会に貢献したい」と、私と同じ商社の道を選んだのです。
どんな道に進んだとしても、私は息子の夢を全力で応援します。
ですが、正直に言えば、息子が自分と似たような道を目指してくれたことに、やはり、ほんのちょっぴり嬉しい気持ちもありました。
記事を読み進めるうちに、約10年前の峻輔がみせた「仕事への向き合い方」に、私自身がハッとさせられました。
「売れるわけない」という逆風を、圧倒的な熱量で突破!
2010年代半ば、当時のインドネシアでは三菱自動車の乗用車シェアはわずか2〜3%でした。
「三菱に、乗用車を売る力なんてない」
そんな冷ややかな声が社内からも上がるほどの逆風の最中、新型車「エクスパンダー」のプロジェクトに峻輔はアサインされました。
まず峻輔が行なったのは、ショッピングセンターの駐車場に30回も通い詰め、ひたすら顧客を観察することでした。
「車内に履き替え用の靴を何足も置いている」という現地のリアルな生活習慣。さらには、パワー不足が露呈したエンジンでは「インドネシアの坂道は登れない」と、周囲の協力を得ながら1.5リットルへの仕様変更を粘り抜いた執念——。
その泥臭い「プロとしての情熱」が、やがて奇跡を呼びました。
2017年のモーターショーの会場には、見たこともないような人だかりができ、注文が殺到したのです。
そして、赴任中の6年間でシェアを「2〜3%」から「約13%」へと一気に拡大。「エクスパンダー」は競合他社を抑え、2年連続でベトナムで「最も売れた車」に。
「エクスパンダ―」は、かつては誰もが想像もできなかった、“ナンバーワンの座”に輝いたのです。
「ブレない・逃げない姿勢」の大切さ
その後、峻輔は、ベトナムで乗用車(Mitsubishi Motors Vietnam(MMV))の販促プロジェクトにアサインされました。
その際、前向きな話し合いができないディーラーとの「契約解消」という、苦渋の決断も下してきました。
当然、激しい反発もありましたが、それでも逃げずに一人ひとりと真摯に向き合い続けました。
その誠実さは、帰国する際にディーラーの皆さんから「Kusanoありがとう」「エクスパンダーNo.1おめでとう」というメッセージと共に、デコレーションケーキが贈られたというエピソードに凝縮されています。
耳あたりの良いことだけを言って、その場をなだめることは簡単です。
でも、数字や現場の実態から目をそらさず、必要なことはきちんと伝える。たとえ反発があっても、未来のために最後まで逃げずに向き合う——その姿勢に私は心から感動しました。
そして、心の中で、「大変だったね、でもよくやったね」と、心の中でエールを送りました。
ブレない人は、逃げません。
逃げない人は、最後まで責任を持ちます。
だからこそ、お客様から「任せられる相手」になれるのです。
「ブレない・逃げない姿勢」の大切さは、そのままバイオマス事業にも当てはまります。
バイオマスは、水素やアンモニアのような派手な「夢のエネルギー」ではありません。既存の設備や流通網を活かしながら、着実に脱炭素へ貢献していく“積み上げ型”のエネルギーです。
だからこそ、エネルギー業界の制度改正の逆風が吹き荒れても、市場が激変しても、最終的には、ユーザーから選ばれる燃料であり続けるのだと思うのです。
そして、サプライヤー側も、バイオマス燃料を「本当に必要とされる燃料」になるために、ブラックペレット化を含めた「性能向上」に目をそらさず、真摯に向き合っていくことが何より大事になると思います。
かつて私の背中を見ていた息子・峻輔が、今、私に大切なことを思い出させてくれました。
「よし、私もまだまだ、ブレずにやり続けなければ」と。
これからも、「ブレない・逃げない姿勢」を大切に、皆様と共に歩んでいきたいと思います。
今日はこのへんまで。また次回のバイオマスコラムでお会いしましょう!