みなさん、こんにちは。
前編では、バイオマス混焼発電の仕組みや、既存のインフラをそのまま流用できる「ドロップイン燃料」としての圧倒的なメリットについてお話ししました。
数千億円をかけて新しい発電所を建てるのを待つより、今あるアセットを活かす方がはるかに現実的、というお話でしたね。
| 【前編の記事は以下をご覧ください】 「【設備投資ゼロ!】火力発電所が今すぐ始められる低炭素化の裏ワザとは?(前編)」 |
さて、後編となる今回は、バイオマス混焼発電のさらに“深いところ”に踏み込んでいきます。
「ぶっちゃけ、お金や期間はどれくらいかかるの?」
この疑問に対して、本記事ではすべて明らかにします。
そして、「設備投資ゼロにすぐに始められる低炭素化の『神ワザ』」もお教えするため、初期投資ほぼゼロで、「低炭素化」を実現できます。
「なるべく早く、お金をかけずに低炭素化を実現したい!」
そんな方は、ぜひ本記事を読んでみてください。
目次
1.神ワザは「混焼率5%未満」の「ふりかけ方式」!
早速ですが、すぐさまできる低炭素化の「神ワザ」について、種明かしをします。
バイオマス混焼を進めるうえで、圧倒的におすすめなのが、
「混焼率5%未満からスモールスタートすること」です。
日本の既存の大型石炭火力発電所は、そのほとんどが「PCボイラー(微粉炭ボイラー)」という、石炭を一度サラサラのパウダー状にすりつぶして燃やすシステムを採用しています。
もしも、バイオマスの混焼割合が「5%未満」の低比率であれば、PCボイラーを無改造で使うことができます。
やり方は驚くほどシンプルです。
ベルトコンベアの上を走る石炭の上に、バイオマス燃料(木質ペレットなど)をまるで「ふりかけ」のようにパラパラと振りかけるだけ。
そして、そのまま石炭と一緒に既存の粉砕機(ミル)に放り込んで、ボイラーで一緒に燃やします。
この「ふりかけ方式」のバイオマス混焼発電は、すでに中部電力の碧南火力、東北電力の相馬共同火力や常磐共同火力、東京電力の常陸那珂、さらには中山名古屋第一発電所など、多くの現場で導入され「低炭素化」を実現しています。
コストをかけずに、「低炭素」の実績を作れる――これこそが、バイオマス発電だからこその“爆発力”なのです!
2.比率を高めようとすると立ちはだかる「コストと時間の壁」
「5%といわず、バイオマスの混焼割合を20%や30%に引き上げたらダメなの?」
そんなふうに思われたかもしれません。
しかし実は、混焼比率を本格的に高めようとすると、一転して「設備投資の壁」が立ちはだかります。
主にネックとなるのは次の3点です。
・粉砕機(ミル)の切り替えコスト(1基あたり数億〜数十億円)
石炭をすりつぶす粉砕機(ミル)は、パキパキと割れる石炭用に設計されています。
しかし木質ペレットは「木」ですから、繊維質であるため、簡単には潰せません。
そのため、混焼比率に応じて、複数ある粉砕機のうち数基をバイオマス専用に改造する必要があり、これに莫大な費用がかかるのです。
恐らく、1基あたり数億〜数十億円の改造コストが必要となります。
・マテハン(Material Handling/物流・搬送)設備の改造
バイオマスは石炭よりもかさばる上に、コンベアの坂道で「滑りやすい」という困った特性があります。
そのため、コンベアベルトの幅を広くしたり、傾斜を緩やかにしたり、速度を変える改造が必要になります。
・高価なサイロ(倉庫)の新設
標準的な木質ペレットは、雨(湿気)に濡れるとふやけて壊れてしまいます。
そのため、密閉された専用の「大型サイロ」が必要です。
しかし、日本の発電所には、大型サイロを構えられるだけの余剰スペースがほとんどない上に、建設費が非常に高いため、これが最大のハードルになります。
以上の通り、混焼割合が増えると、大がかりな設備投資が必須です。
だからこそ、すぐさま低炭素化したい方には「混焼割合5%未満」が最適解なのです。
3.サイロが不要な「ブラックペレット」を使う手もあるが……
なお、バイオマスを炭にした「ブラックペレット(半炭化バイオマス)」を使えば、大型サイロは不要になるため、設備投資費の一部をカットできます。
そのため、混焼率を5%以上にしたいならば、ブラックペレットを使うのは、一つの手です。
ですが、残念ながら、ブラックペレットについては、商業規模で大量製造できる設備が現在、アジアにないというジレンマがあります。
だからこそ、現実解としておすすめなのが、「混焼率5%未満」のバイオマス混焼発電なのです。
| 【知る人ぞ知る!新時代の燃料「ブラックペレット」について知りたい方はこちら】 「【2025年最新】バイオマス燃料のエースは「ブラックペレット(半炭化バイオマス)」の可能性大!」 |
4.バイオマス混焼発電を実現するうえで押さえておきたいポイントとは?
ここで、バイオマス発電を進めるうえで「極めて重要なポイント」をお伝えさせてください。
それが、バイオマス燃料の「認証(サステナビリティ)」です。
どれだけ「ふりかけ方式」でコストを抑えてCO₂を減らしたとしても、バイオマス燃料そのものが「違法伐採されたもの」だったり、「現地の環境や人権を破壊して調達されたもの」だったりしたらどうでしょう?
せっかくのサステナブルな取り組みも、「低炭素化」も台無しになってしまいますよね。
だからこそ、プロジェクトの初期段階から、サプライチェーン全体の透明性を客観的に担保する「国際的な認証基準」を満たした燃料を確保することが、大前提のルールになります。
ポイントは以下の3点です。
| ① Sustainabililty (持続可能性) 資源が枯渇しないように、計画伐採をしたり、再生可能なバイオマス燃料(農業残さ、再植林された木材など)である。 ② Legality(合法性) 「正規ルート」で合法的に伐採・輸出されたバイオマスである。 ③ Traceability(追跡可能性) 「誰が、どうやって作ったのか?」を追跡できるバイオマスである。 |
上記の3点に基づいて、持続可能な方法で調達されたバイオマスであることを証明する認証としては「FSC(Forest Stewardship Council )」などが挙げられます。
FSC認証のバイオマスならば、生物多様性を守っていることはもとより、地域社会や先住民族、労働者の権利を守りながら、適切に製造されたバイオマスであることを証明できます。
SDGs時代、「認証」を活用することが、何よりの「信頼の証」になるのです。
| 【バイオマス認証についてわかりやすく解説したコラム記事はこちら】 「バイオマス認証とは?おすすめの認証・取得メリット・取得方法を解説」 |
5.まとめ
いかがでしたか。
後編では、バイオマス混焼発電のリアルな運用方法について解説しました。
私たちは今、エネルギーの大転換期のまっただ中にいます。
未来の主役候補である「水素」や「アンモニア」を夢見て待つことも大切です。
ですが、バイオマスは「今日」この瞬間、エネルギーの世界を動かし、変え始めています。
バイオマスは、ビジネスとして非常に信頼できる選択肢なのです。
まずはハードルの低い「ふりかけ方式(5%未満)」で、コストをかけずに今すぐ脱炭素への第一歩を踏み出してみてください。
今回のコラムはこのへんでお開きにしたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!