発電所の大型化について

バイオマスコラム

バイオマスス発電所はもっと大型化して、発電コストを下げ、競争力のある電気を作らなければなりません。バイオマス発電所には大きく分けて2つのタイプがあります。

1つは大型の石炭火力発電所で、5~10%程度のバイオマスを石炭に混ぜて使うタイプです。バイオマス混焼発電所と言います。でもこれは主燃料が石炭なので、これは化石燃料ですから、もう流行らないし、この先はますます国際社会に受け入れられないかも知れません。

もう1つはバイオマスのみを燃料として使用するタイプです。バイオマス専焼発電所と言います。まずバオマス専焼発電所についてお話します。固定価格買取制度(FIT制度)を活用した発電所は殆どこのタイプです。発電容量は5万キロワット、7万5千キロワットといった大きさです。5万キロワットで一般家庭8万戸分の電力供給が可能です。このFIT制度による発電所は、キロワットアワー当たり24円という売電価格が保証されています。但しこれは2018年には21円となり、その後は入札制度となっています。

2つの問題があります。1つはFIT制度による売電価格の保証は操業開始後20年で終了することです。FIT制度の資金は国民負担ですから、国民にとってはFIT制度の資金負担は大変重いです。住んでいる地域やご家庭によって異なりますが、首都圏の場合、毎月の電気料金の凡そ10%程度は、このための再エネ賦課金として、FIT制度の資金として使われています。FIT制度で再生可能エネルギーが広く普及するのは良いことなのですが、いつまでも国民がその多額の負担を強いられるのは良くないですね。また買取期間が20年で終了後は、その時の市場価格で電気を売らなければなりませんから、当然売電価格は安くなります。バイオマス燃料価格も安くしなければなりません。

もう一つの問題は、まだ建設中のバイオマス発電所を含めても、これでは政府の再生可能エネルギーの目標に届かないということです。政府は2030年時点で再生可能エネルギーが主力電源として全体の25%を占めること、そのなかでバイオマス発電は全体の4%を占めること、という目標を設定しています。この「バイオマス発電は全体の4%」には、届かないということです。ですからどうするかと言うと、5万キロワットとか、7万5千キロワットではなく、もっと大型のバイオマス専焼発電所をつくることだと思います。目標は20万キロワットとか30万キロワットの発電所です。

大型化することで、一か所の発電所で、バイオマス燃料は年間100万トンほど必要になりますが、発電所の運転効率が上がりますし、キロワットアワー当たりの発電コストも下げることが出来ます。このようにして徐々にFIT制度から自立して、競争力のある電力を作らなければなりません。ですからバイオマス燃料についてもコスト競争力のある安定した資源からの供給が必要になってきます。