SDGs経営とは、SDGs(持続可能な開発目標)の達成を目指しながら行う企業経営のことです。
自社や顧客、株主など、ステークホルダーの利益を追求するだけでなく、地球温暖化や貧困、ジェンダー問題など、私たちを取り巻く諸問題の解決に向けて取り組みます。
この「SDGs経営」を取り入れる企業が増えるなかで「どんな取り組みを行ったらいいのだろう?」と頭を抱えている経営者の方も少なくないのではないでしょうか。
SDGs経営のアイデアはさまざまありますが、その一つに「バイオマス発電」が挙げられます。バイオマス発電は化石燃料の代わりに、木質ペレットなどのバイオマス燃料を用いるため、カーボンニュートラルな(CO₂を増やさない)発電方法です。
とりわけ、これから「バイオマス発電」を始めたいならば「植林事業」もセットで行うのがたいへんおすすめです。
なぜならば、植林事業も行うことで、カーボンニュートラルどころか「カーボンネガティブ(=二酸化炭素を減らす)」を実現できるからです!
二酸化炭素を減らせるとなれば、SDGsのゴールの一つである「13.気候変動に具体的な対策を」に貢献できます。
本記事では、なぜ「SDGs経営を目指すならば『バイオマス発電×植林事業』がいいのか」について、詳しく解説します。
「SDGs経営を行いたい」「SDGs経営のヒントが欲しい」といった方にとって、参考になる記事です。
目次
1.なぜ、SDGs経営に「バイオマス発電」がいいのか?
冒頭でご説明した通り、バイオマス発電はSDGs経営にピッタリな事業です。
なぜならば、バイオマス発電では、二酸化炭素を大量に排出する化石燃料(石炭、石油、LNG(液体天然ガス))の代わりに、木質ペレットなどのバイオマス燃料(植物由来の燃料)を用いることで「カーボンニュートラル(CO₂を増やさない)」となるからです。
植物は成長の過程で大気中のCO₂を取り込みます。燃やしても、もともと植物が体内に取り込んでいたCO₂が大気中に放出されるので、バイオマス燃料の燃焼時にCO₂を排出してもCO₂の総量は増えないというわけです。
この特徴だけでも、バイオマス発電はSDGs経営にピッタリな事業だといえます。
とりわけ、バイオマス発電の場合、SDGs経営を実現しながら「収益が得られる」のが、非常に魅力的です。
2000kW程度の小さな発電所の場合、初期費用回収後は、毎年、2億7400万円(概算)ほどの利益が得られるからです。
「バイオマス発電の収益性」については、以下の記事で詳しく解説しています。
【専門家解説】バイオマス発電所の収益性は?初期費用回収は最短8年
2.バイオマス発電なら「カーボンネガティブ(CO₂の削減)」が可能!
以上の通り、バイオマス発電は「カーボンニュートラル」であり、なおかつ、収益性もよいことから、SDGs経営と相性がよい事業だといえます。
こうしたなかで、イギリスや日本などのバイオマス先進国では「バイオマス発電所から排出されるCO₂を吸収固着しよう!」という動きが活発化しています。
バイオマス発電は、もともと再生可能エネルギーとして認められていますので、CO₂吸収固着できれば「カーボンネガティブ(=CO₂の削減)」を実現できます。
これは、ほかの再生可能エネルギーにはない画期的で魅力的なことです。
太陽光発電や風力発電などは、カーボンニュートラルでこそあれ、カーボンネガティブにはなりえないからです。
3.CO₂の貯留技術には莫大な予算が必要…
例えば、イギリスのノースヨークシャー地方にある最大手のバイオマス発電所「DRAX」は、発電所から発生するCO₂を、三菱重工の技術で回収し、それを北海の海底油田跡に「封印」することで、CO₂の吸収固着を達成しようと試みています。
このように、世界ではCO₂の吸収固着に向けた開発が進められています。
しかし、1点、大きな壁が立ちはだかっています。
それは、CO₂を吸収固着する貯留技術は、たいへん大がかりな装置が必要であり、莫大なコストがかかるということです。
実は日本の大手電力会社も、CO₂の貯留を検討してきました。
しかし、やはり、コストがかかりすぎることや、技術としての信頼性が不明確(=万全に保管できるかの検証も行わなければならない)ということで、やや萎縮気味なのが現状です。
4.カーボンネガティブの最適解は「植林事業」!
とはいえ、カーボンネガティブを実現できるとなれば、SDGs経営を実行するうえでも、大きな目玉になるでしょう。
言わずもがな、地球温暖化の進行を食い止める画期的な手段にもなりえるため、是が非でも実現したいものです。何かいい方法はないかと、私自身も考えてきました。
そうしたなかで思いついたのが「植林事業」でした。
僕は、カーボンネガティブの実現には、植林がベストプラクティスだと考えています。
なぜならば、そもそも植物は、自らの生命維持のために、大気中のCO₂を体内に取り入れて、地中の水分から炭水化物を合成し、酸素を作り出す生き物だからです。
自らの体内にCO₂の吸収固着しつつ、酸素を作り出してくれる。
環境上、二重にいいことをしてくれるのが、植物なのです。
しかも、CO₂の吸収固着装置のように、莫大な費用がかからない。
太陽が降り注ぎ、成長に必要な水さえあれば、永続的にサイクルを回し続けられる。
これ以上に素晴らしいCO₂のの吸収固着装置は、なかなか存在しないでしょう。
将来的には、植林地で吸収固着したCO₂は「カーボンクレジット(CARBON CREDIT)」として売買が可能になるような未来予想図も描けるだろうと予想しています。
例えば、CO₂の削減目標にもう一歩で届かない企業や国が、バイオマス発電事業での植林によって果たされたCO₂の削減を「カーボンクレジット(CARBON CREDIT)」で購入することで、目標達成を叶えるといったアイデアです。
バイオマス発電×植林事業。
意外な組み合わせかもしれませんが、SDGs時代を彩るトレンドの一つになるかもしれませんね。
5.植林事業で押さえたいのは「計画伐採」&「再植林」&「カスケード利用」
「バイオマス発電×植林事業」を実施する場合、是非とも押さえておきたいポイントが3つあります。
①計画伐採
②伐採後の再植林
③カスケード利用
一つずつ、みていきましょう。
①計画伐採
一つは「計画伐採」です。
植樹した樹木をそのまま放置するのではなく、成長した分だけ「計画伐採」するのがいいと思います。
なぜならば、樹木には「一定の成長カーブ」があり、成長しきった後は、CO₂の吸収効率が著しく低下してしまうからです。
樹木によって異なりますが、だいたい8~15年くらい経過すると、成長曲線がほぼフラットになります。つまり、成長しなくなってしまうのです。
その過程で、CO₂の吸収効率も落ちるため、カーボンネガティブを実現できなくなります。
伸び放題で手入れしない植林地は、やがて枯れてしまい、朽ちて「メタンガス」を発生させたり、「山火事の温床」になったりと、何一ついいことがありません。
メタンガスは、CO₂の20倍以上もの温室効果があるガスとして恐れられています。
樹木が成長した分だけ計画伐採し、それを自社のバイオマス発電所の「燃料」として活用する——脱炭素化の“美しい循環”が生まれますね。
②伐採後の再植林
計画伐採を繰り返すなかで、使い道がなくなった場合には「再植林」をするのがいいと思います。
そうすることで、カーボンネガティブを維持できるうえ、植林地の健全な成長を維持できるからです。
③カスケード利用
「伐採した樹木は自社のバイオマス燃料として活用しましょう」とお伝えしましたが、バイオマス燃料として使うのは、使い道のない部分のみにするのがよいと思います。
太くて価値がある部分は、家具用部材やパルプ材として高く買い取ってもらえるためです。
市場で売れない小枝や削ったあとの残りを、バイオマス燃料として活用しましょう。
もちろん、バイオマス燃料として、他社に販売してもよいと思います。
森林資源は「頭の先からつま先まで」全部使うことで、利益を最大化できます。
この考えは「カスケード利用」といいます。
このカスケード利用の考えで、植林地を管理しましょう。
カスケード利用については、以下の記事で詳述しています。
【専門家記事】バイオマスのカスケード利用とは?定義・メリットを解説
6.まとめ
いかがでしたか。
バイオマス発電×植林事業。皆さんにとっては、やや意外なアイデアだったかもしれませんね。
とはいえ、カーボンネガティブを実現できる再生可能エネルギーは、バイオマス発電だけです。この点を踏まえると、いかに魅力的な事業であるかが、お分かりいただけるのではないかと思います。
収益を上げながら、SDGs経営を実現する手段の一つとして、検討してみてはいかがでしょうか。
バイオマス発電事業の立ち上げや、植林事業に興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。
その際は、植林事業を進める際の具体的なヒントやアイデアも、お伝えできればと考えています。
植林事業を加速させるアイデアについてざっくばらんにお伝えします! |
・植林事業で植えるとよい「樹種」 成長スピードが早く、バイオマスのカスケード利用が可能な樹種を選ぶのがポイントです ・植林事業に適した「地域」 樹がスクスクと育つ気候の地域に、植樹することが大切です ・植樹によるインパクト(=CO₂の年間削減量(想定)) 植樹した樹種によって、CO₂の年間削減量は異なります。成長スピードが早い樹種ほど、「CO₂の年間削減量/年間」が高まります |
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代表・草野は、バイオマス発電所のコンサルタントとして、これまでさまざまな開発事業に携わってきました。2017年からは、株式会社レノバ(東証プライム市場に上場している環境・エネルギー関連企業)で、エグゼクティブ・アドバイザーも務めております。
とりわけ「バイオマス燃料(木質ペレット)の安定調達」に関するサポートが一番の「得意分野」です。
これまで、数多くのバイオマス発電所さまに向けて、ニーズに合致した燃料供給事業者をご紹介してまいりました。
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