バイオマス燃料認証の日本の方向性(経産省ワーキンググループ審議の進捗状況)

バイオマスコラム

バイオマス燃料の認証には実にさまざまなものがあり、世界共通の課題として次のような点が挙げられます。

バイオマス燃料認証の日本の方向性(経産省ワーキンググループ審議の進捗状況)

日本としてどのような認証制度をFITに組み込んでいくのか、2020年現在、およそ月に1回のペースで経産省のバイオマス持続可能性ワーキンググループにて審議が進められています。

 

PKSのサステナビリティ認証

すでに昨年認められたRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議、Roundtable on Sustainable Palm Oil)、RSB(持続可能なバイオ燃料に関する円卓会議、Roundtable on Sustainable Biofuels)に続き、既存制度では以下のものが俎上に載せられています。

  • GGL(持続可能なバイオマスのための国際認証プログラム、 Green Gold Label)
  • ISSC(国際持続性カーボン認証、International Sustainability and Carbon Certification)
  • ISPO(Indonesian stainable Palm Oil、持続可能なパーム油のインドネシア国内規定)
  • MSPO(Malaysian Sustainable Palm Oil、マレーシアの持続可能なパーム油)

加えて、新認証と呼ばれる「日本独自の認証プログラム」について審議が続けられています。

 

上記のうち、GGL、ISSC及び新認証については、2020年内に了承される見通しとなってきました。残りの2つ(ISPOとMSPO)インドネシア政府およびマレーシア政府の独自認証については、審議にもう少し時間がかかるものと思われます。両国ともPKSのみならずその主産物のパーム油も含めたFIT用の燃料の認定を希望しているのですが、両国のパーム産業は欧米の環境団体やNGOから環境破壊や農園での児童労働等で厳しい批判を受けていることもあり、日本としては、あくまでパーム油加工場から出る副産物のPKSだけを主産物とは切り離して考えたいとの意向です。

 

ライフサイクルGHGについて

日本独自のバイオマスのGHGライフサイクルアセスメントの在り方を探るものです。バイオマスの原料確保から生産現場、船積み輸送、そして発電所に至るまでのGHGのライフサイクルにおける評価方法の議論になります。先行する欧州の制度をそのまま適用するのではなく、日本としては厳密な計算法によりバイオマスの値と化石燃料(石炭・石油・天然ガス)のそれとの確実な差異を把握する方向で審議されています。細かい計算法を用いた場合、現在公開されているバイオマスと化石燃料のGHG排出量を比較したグラフの数値にも誤差が生じ、全てのバイオマスの値が化石燃料より低くなりそうです。