藻類バイオマスとは

バイオマスコラム

バイオ燃料の有力な原料として特に注目を集めているのが、「藻類」です。

なぜならば、藻類によるバイオ燃料は、食品利用との競合がない上に、他のバイオマスに比べて桁違いに生産効率が高いからです。

 

光合成の代謝産物として油を産生

藻類は、一般的には水中に棲息し太陽光を利用して光合成を行い、その代謝産物としてオイ ル(原油)を産生します。

代表的な微細藻類には、炭化水素を生産するボトリオコッカス(Botryococcus braunii、以下ボトリオコッカス)があります。他に、低酸性に耐性のあるシュウドココミクサ(Pseudococcomyxa)、食品添加物としても実用化されているユーグレナ(Euglena)、海水で培養できる珪藻のクラミドモナス(Chlamydomonas)などがあります。いずれも、輸送用燃料の原料として有望とされています。

出所:藻類産業創成コンソーシアム平成23年度「農山漁村における藻類バイオマスファームの事業化可能性調査報告書」

 

藻類の活用には次のようなメリットがあります。

  • 効率の良い土地活用が可能
  • 通常の農業では使用できない耕作地が使用可能
  • 穀物との競合を避けることができる
  • 培養する際に排水、塩水などを利用することができる

 

大別すると大量培養法は2種類

藻類大量培養法には、次の2つの方法があります。

  1. オープンポンド:池を使った開放系培養法
  2. フォトバイオリアクター(PBR):バイオリアクターを使った閉鎖系培養法

①は50年前に確立された培養法です。浅い池を用いて水車や空気などで水を攪拌させながら藻類を培養します。

近年開発が進んでいるのは②の培養法です。チューブやフィルム、膜などを用いて立体的に藻類を培養します。

①と②を比較すると、一般的には、①のオープンポンド方式のエネルギー収支が有利であるようです。しかし、藻類培養の諸条件(藻類の種、地域、気候、土地の形状など)によって最適な培養法は異なってきます。

 

国産藻類バイオ燃料実用化の課題

実用化の課題の一つは、価格の問題です。レギュラー・ガソリンとの価格差を縮めるには、原料の安定調達と大量培養の技術開発が必要になります。日本と違いバイオ燃料開発先進国の欧米では研究開発を国が支援し、多額の資金も投じられています。

もう一つは、法制度の問題です。通常の農業生産に向かない土地でも利用可能な藻類生産ですが、肝心の休耕田等の耕作放棄地が農地法の壁により用途が制限されてしまうケースがあるのです。

藻類バイオ燃料を国内で実用化するには、これら日本特有の壁を乗り越えていく必要があります。