カスケード(Cascade)とは「滝」…ことに「小さな滝がいくつも連なって段階的に落ちていく滝」を意味します。「バイオマスのカスケード利用」とは、バイオマスを質の高いリサイクルから、質の低いリサイクルへ多段的に繰り返し利用し、バイオマス資源を大切に利用しようという考え方です。
木質バイオマスで、例を挙げてみましょう。
木材や家具の製造過程、パルプの製造過程、また建設現場などで発生する「木くず」。これを加熱圧縮したものが「パーティクルボード」で、安価でエコな建材として住宅・家具などの材料になります。そして次の段階として、ボードとして利用できなくなったものを、今度は「燃料」として利用します。これが「カスケード利用」です。
カスケード利用の特徴は、「段階的に価値が下がる」という点です。一方で価値を下げずにリサイクルすることを「ホリゾンタル(水平)利用」と呼び、等価値を維持するために手間とコストがかかります。その点、カスケード利用は価値が下がってOKのリサイクルなので、実現のハードルが下がります。
同じような意味で、「付加価値の高いものから順に使っていこう」という考え方を示したものに「バイオマスの5F」があります。
(1)Food(食料)
(2)Fiber(繊維)
(3)Feed(飼料)
(4)Fertilizer(肥料)
(5)Fuel(燃料)
「食料(Food)」が最も価値が高く、次にその残骸を利用した「繊維(Fiber)」製品、家畜等の「飼料(Feed)」と続き、「肥料(Fertilizer)」を経て、最後に「燃料(Fuel)」としてその役目を終えます。これも「バイオマスのカスケード利用」です。
森林資源から生み出される多種多様な木質系バイオマスを、無駄にすることなく、段階的にとことん使い切っていく…それがカスケード利用です。カスケード利用の流れを構築していくことは、地球環境保全と林産業の活性化にとって、大変重要な意味があります。