バイオディーゼル燃料とは?

バイオマスコラム

バイオディーゼル燃料とは、バイオマスエネルギーの一つであり植物油からつくかられるディーゼルエンジンです。軽油の代替燃料として使用することができます。

登場は19世紀後半

ドイツ人ルドルフ・ディーゼルが19世紀後半、パリ万博でディーゼルエンジンを発表したのが最初です。この時燃料として使ったのはピーナッツ油です。その後、化石燃料である軽油が普及してバイオディーゼル燃料は消え去ったかに見えましたが、地球温暖化等環境問題が深刻になった昨今、再注目を集めています。

主原料は植物油脂

原料はナタネ油、ひまわり油、大豆油、パーム油、米油、コーン油などの植物油です。欧州ではナタネ油、北米や南米では大豆油、東南アジアではパーム油を主原料とするものが多く、食料との競合や過度の開発による生態系の破壊などが問題となっています。一方、日本ではリサイクルの観点から回収した食用廃油(使用済み天ぷら油)が主流となっています。

油脂の種類によって、次のような特性(デメリット)があります。

油脂の種類特性(デメリット)
ナタネ油、ひまわり油、コメ油酸化しやすい
パーム油、ココナッツ油、牛脂低温で固まりやすい
魚油低温でも固まりにくいが、熱でスラッジ(エンジン内部のオイルと混ざった燃料やオイルの燃えカス)が発生しやすい

FAMEによる製造が主流

脂肪酸とグリセリンの化合物である植物油に水酸化カリウムを触媒として投入し、メタノール(バイオディーゼル)+脂肪酸とグリセリンに分離します。グリセリンを除去して燃料化したものがバイオディーゼルとなります。軽油に比較して科学的に不安定であるため酸化防止剤の添加が必須となります。主成分は脂肪酸メチルエステルで、FAME(Fatty acid methyl ester、脂肪酸メチルエステル)とも呼ばれています。

日本における取り組み

バイオディーゼル燃料生産で世界を牽引してきたのは欧州諸国です。世界各国で国家プロジェクトとしてバイオディーゼルの生産と実用化が進められています。

ISTA Mielke社「Oil World」2019年報ほか各年版

日本では、2006年3月に閣議決定された「バイオマス・ニッポン総合戦略」において2030年までに国産バイオ燃料の大幅な生産拡大を図ることが提言されました。全国で、京都市のように一般家庭や飲食店,食品加工工場などから回収した廃食用油からバイオディーゼル燃料を生産して市バスやゴミ収集車の燃料として利用する自治体や企業での取組み、100%バイオディーゼルの路線バスへの導入等が進んできています。

期待の次世代バイオディーゼル

FAMEを主成分とする第一世代のバイオディーゼルは、酸化しやすく長期保存ができません。このため燃料性状が安定した第二世代のバイオディーゼルとして開発されているのが、同じく植物油や廃食用油を原料とする水素化植物油(Hydrotreated Vegetable Oil、以下HVO)です。高圧・高温の状態で水素と化学反応させる「水素化処理」を施して燃料油を酸化安定させます。従って、従来のFAMEよりも低温での性能が優れており、より高い混合比率で利用できます。 EUにおけるHVOの生産量は年々増加しています。アメリカでは大手食肉加工企業が燃料研究開発企業と合弁会社を設立し、低品質の非食用動物性油脂からHVOを生産しています。

欧州における次世代バイオ燃料プラント(USDA, EU Biofuels Annual 2018より三菱総研福田桂氏作成)

日本でも研究開発が進められており、2010年には、国土交通省の「次世代低公害車開発・実用化促進」プロジェクトの一環としてHVOを混合した燃料で都営バスを運行させる実証試験が行われました。

さらに、第三世代のバイオディーゼル燃料としてバイオマスを液化して得られるBTL(Bio-to-Liquid)軽油があります。しかしこちらは、2020年現在実用化には至っていません。