バイオマス発電の燃料として木材を使い続けると、いつか森に木が無くなってしまうのでしょうか?
現状から見て、まずそれは起こりません。何よりも、将来的にも起こらないようにするための森林の管理が肝要になります。
高度経済成長期に植林された人工林が主伐期
林業に「50年伐期」という考え方が生まれたのは、高度経済成長期です。杉の成長のピークを植林から50年と決め、その適齢期(標準伐期)に皆伐して、新しく植林するというサイクルです。日本では、戦後の高度経済成長期に植林された人工林が現在主伐期を迎えています。
森林資源のバイオマス活用は廃棄予定の木材
人工林には間伐が必要です。木々が二酸化炭素を十分吸収できる健康な森の中で木々を育てるためです。間伐された木は枝を払われて幹は丸太となって森に積み上げられますが、引き取り手がなければそのまま森に放置されます。バイオマス発電所で燃料として利用されるのは、これらの間伐によって廃棄されるはずの木材や主採した原木の中でも丸太製品として利用価値の無い木材のみです。
木を燃やして電気をつくることは、森林の木を減らすのではなく活用されていなかった森林資源を有効活用することになるのです。
バイオマス活用と持続的計画的森林経営は両輪
とはいえ、バイオマスの活用が広がるにつれ、発電の燃料用に国産材需要は増加しています。 皆伐後の再造林の際には、バイオマス利用も視野に入れた計画的な林業経営を考えていくことが重要となります。バイオマス資源の活用は、その持続的な利用を前提とした適切な森林管理の上で行われていかなければなりません。 さらに今後は、森林資源バイオマスの活用と森林環境や生態系の保全との関係性等の総合的な研究が求められるところです。